私の「帰りたい場所」
育った町としての石川県も、バンドをはじめた町としての京都も、どちらも僕にとっての帰る場所です。曇り空も海も、道路の脇に積もる雪も、音楽雑誌が並べられたままの子供部屋も、はじめてレコードを買ったお店も大好きな本屋さんも、なくなってしまった映画館も、チキンコルドンブルが美味しい洋食屋さんも毎日通ったお蕎麦屋さんも、自転車で駆け抜ける碁盤の目も、いい香りのする中華料理も大きな川も、どれも帰る場所であり大切な宝物です。今、僕たちが暮らす東京のこの町も、いつかそんな大切な帰る場所のひとつになるのかもしれない、と考えるとなぜか少しだけ胸がとくんと鳴るのでした。(福富優樹)