研究報告
暖房方式と室温が家庭血圧に与える影響
#健康・快適
#空調
積水ハウス株式会社/2020年9月
近年、日本では循環器疾患が主な死亡原因の一つとなり、高血圧の予防と改善が急務となっています。特に心血管疾患は慢性的および急性的なリスク因子があり、早朝の血圧に着目することが重要です。寒冷環境は血圧に影響を与える要因の一つとされ、室温が上昇すると血圧が低下することが過去の研究で示されています。
本研究では、冬季における暖房方式と室温が血圧に及ぼす影響をマルチレベル分析を用いて調査しました。結果として、床上1mの室温が1℃高くなると血圧が0.6mmHg低下し、室温の上下温度差が1℃小さくなると血圧が0.1mmHg低下することが確認されました。
ただし、暖房方式による有意差は認められませんでした。また、外気温やその他の室温、介入の効果などの包括的な要因は考慮できていないため、今後の研究でこれらを踏まえたさらなる検討が必要です。
研究報告
暖房方式と室温による睡眠の質への影響
#健康・快適
#空調
近年、日本では睡眠の質の低下が生活習慣病や精神疾患のリスク要因となり、その社会的損失が問題視されています。「健康日本21(第二次)」では、睡眠不足の人を15%に抑える目標が設定されていますが、実際は20%を超えています。特に、温熱環境が睡眠の質に影響を与えることが指摘されていますが、実生活環境での研究は不足しています。
本研究では、2015〜18年の調査データ(20歳以上、555名)を用い、居間や寝室の温度と睡眠の質の関連を解析しました。結果、居間の就寝前30分の平均室温が睡眠の質と強い関連を示し、室温上昇が睡眠の質を向上する可能性が示唆されました。
この研究は、就寝前の温かい環境が睡眠の質を向上させることを示しており、健康的な社会の構築に寄与することが期待されます。因果関係の特定にはさらなる研究が必要です。