家での子どもの事故やケガのヒヤリハット経験は半数以上。そばに大人がいても注意

積水ハウス株式会社/2024年9月13日

 積水ハウス株式会社は子どもたちの安全・安心な住まいのご提案を目的として、0歳から小学2年生までの子どもを持つ全国の男女を対象に「住まいにおける子どものヒヤリハット調査(2024年)」を実施しました。
 積水ハウスでは、暮らしにおける「幸せ」のさらなる追求のために「住めば住むほど幸せ住まい」として様々な調査を実施しています。残暑が続きますが、過ごしやすい秋がくれば気をつけたいのは住まいの窓やベランダからの子どもの転落事故です。季節問わず注意が必要ですが、中でも、涼しく過ごしやすい時期は部屋の窓を開ける機会が増えます。本格的な秋が始まる前に、転落事故の注意喚起と合わせて、子どもたちが家で安全・安心で過ごせるように、家の中での事故やケガ、それらを防ぐための対策などの実態を調査しました。

~調査サマリー~
✔家の中で子どもの事故やケガのヒヤリハット経験は半数以上、中でも3歳以下が多い傾向に。女児と比べ男児の経験率が8.7ポイント高い
✔家の中で子どもの事故やケガが起きそうになった状況として「大人がいて見守っていた」が5割以上に
✔家の「リビング」「キッチン」「寝室」以外の場所における子どもの事故やケガを防ぐ対策実施率は半数以下

 調査結果をはじめ、子どもの安全と自主性を考えた”子育ち”のための「幸せTips」もご紹介します。

家の中で子どもの事故やケガのヒヤリハット経験は半数以上。女児と比べ男児のヒヤリハット経験が8.7ポイント高い
 家の中で、子どもの「事故やケガをした経験」「事故やケガをしそうになった経験(ヒヤリハット)」(以下、ヒヤリハット)を聞いたところ、「事故やケガをした経験」が「ある」と回答した人は44.2%で、「ヒヤリハット」の経験が「ある」においては55.6%と半数以上でした。また、男児のほうがそれぞれ女児より5.0ポイント以上高い結果になりました。

 家の中で、子どもの「事故やケガをした経験」が「ある」と回答した人に、当時の子どもの年齢を聞いたところ、「0~1歳」「2~3歳」が5割以上と多いことから、3歳以下は特に注意が必要なことがわかります。「ヒヤリハット」においても、「2~3歳」が57.7%、「0~1歳」が50.2%と多い結果でした。

 家の中で、子どもの「事故やケガをした経験」が「ある」と回答した人に、事故やケガの内容を聞いたところ、最も多い回答が「転ぶ」の50.0%で、続いて「ぶつける・衝突」46.7%、「落ちる」41.0%でした。年齢別で最も差がでた内容が「落ちる」で、「0~1歳」が多く、他の年齢と比較して10ポイントほど高い結果になりました。また、「0~1歳」においては、他の年齢よりも「誤飲・誤食」の割合も多く、重篤になるケースも考えられるため注意が必要です。

 続いて、家の中で経験した子どもの「ヒヤリハット」について内容を聞いたところ、「落ちる」と「転ぶ」が同率の41.6%で最も多い結果になりました。年齢別で最も差が出た項目は「ぶつかる・衝突」で、「4歳~未就学」が50.9%と他の年齢と比較し10ポイント以上高い結果になりました。「落ちる」については、実際に事故やケガが多かった「0~1歳」が最もヒヤリハットを経験していました。調査結果のように、年齢ごとに起こりやすい事故やケガ、ヒヤリハットの内容が異なるため、子どもの成長に合わせて対策は見直していきたいですね。

 子どもの事故やケガ、ヒヤリハットの原因になった家の設備や家具、製品について聞いたところ、事故やケガ、ヒヤリハットともに、どの年齢においても「テーブル・机」が多いことがわかりました。事故やケガにおいては、「4歳~未就学」が他の年齢と比較して10ポイントほど多くなりました。「テーブル・机」の角にぶつけたり衝突したり、登って落ちたりするなどの事故が考えられます。事故やケガの原因TOP10には「窓・出窓」がありますが、これらは取り返しのつかない事故になりえる原因です。「0~1歳」と比較し、運動能力が発達し自由に動き回れる「2~3歳」「4歳~未就学」では2倍程度に増えます。また、3歳以下では「浴槽」や「ベッド」の事故も多く見受けられました。

 子どもの事故やケガ、ヒヤリハットが起きた場所を聞いたところ、事故やケガ、ヒヤリハットともに「リビング」が約5割と最も多く、続く「階段」は2割ほどでした。子どもにとっての家の中の危険は様々ありますが、まずは過ごす時間も長いと思われる「リビング」の事故やケガの防止策をしっかりと行っていきたいものですね。

 事故やケガ、ヒヤリハットが起きたときの状況を聞いたところ、事故やケガについては、「大人(親や祖父母など)はいたが目を離していた」が60.4%になりました。そして、意外にも多かったのが「大人(親や祖父母など)がいて見守っていた」が49.5%でした。ヒヤリハットでも「大人(親や祖父母など)がいて見守っていた」が56.2%、「大人(親や祖父母など)はいたが目を離していた」53.2%と多い結果になりました。大人が同じ空間、ましてや見守っていたとしても事故やケガ、ヒヤリハットが起きる可能性が5割近くもあることがわかりました。

家の「リビング」「キッチン」「寝室」以外の場所における子どもの事故やケガを防ぐ対策実施率は半数以下
 子どもが生まれてからこれまでに、家の中で子どもの事故やケガを防ぐ対策を行ったことがある人は86.3%におよびました。そのうち、現在も対策を行っていると回答した人は73.3%でした。現在の子どもの年齢で比較すると、子どもの年齢が上がるにつれて、安全対策をしている家庭は減少することがわかります。中でも、対策差が大きく開いたのは「4歳~未就学」から「小学1~2年生」とで22.5ポイント減少しました。

 対策の内容を聞いたところ、子どものどの年齢においても、「刃物は手の届かない場所にしまう」は上位にランクインしました。年齢ごとに目立つ対策として、「0~1歳」では、「睡眠時の転落防止」「睡眠時の窒息防止」が27.5%と睡眠時の対策が多い傾向にあり、生活エリアが広がるタイミングの「2~3歳」では、「風呂のお湯を張ったままにしない」35.0%、「家具の角にコーナーガードを付ける」29.2%が多く、「4歳~未就学」では、「コンセントカバーを付ける」「ベランダや腰窓の前に台になる物を置かない」26.7%と、年齢ごとに対策を考える必要があります。

対策している場所においては、「リビング」が70.0%と最も多く、続いて「キッチン」65.7%、「寝室」53.4%でした。その他の場所の対策は5割を下回る結果になりました。事故やケガ、ヒヤリハットを経験した場所の上位であった「階段」の対策は35.5%と低いです。その他、「ベランダ」も21.7%と低く、対策している場所に偏りが見受けられます。

 子どもに事故やケガが起きないように行っている最も効果を感じる教育について年齢別で聞いたところ、「0~1歳」を除き、どの年齢においても「危ない理由を伝える」が一番多くを占めました。年齢が上がるにつれ、「危険を予測して声掛けする」が減る一方、「危ない理由を伝える」が増え、小学1~2年生では半数を上回りました。注意するだけではなく、「なぜ」危険であるかを子どもに理解させて、防ぐことがポイントになるようです。

4つの「幸せTips」で、子どもたちにとって安全・安心な住まいを
 調査では、家での子どもの事故やケガを防ぐための対策をしている人が多いことが分かりましたが、「リビング」「キッチン」「寝室」以外の場所は半数に満たないことがわかりました。実際に事故やケガ、ヒヤリハットが起きている場所においても「リビング」が多いため、「リビング」の対策は第一に必要と考えられますが、その他の場所でも万が一の危険に備えることが大切です。また、年齢ごとに起こりやすい事故やケガや必要な対策を講じる必要性も見受けられました。
 積水ハウスでは様々な企業や団体とともに、赤ちゃんが生まれながらに持っている、心身の発達にとって非常に重要な行動特性を“ベビーOS”、2歳から12歳までの子どもたちが持つ、自由で豊かな創造力・直観力から引き出される、特有の思考や行為を“こどもOS”として研究を行っています。そのような行動特性は「プレイフル(遊びゴコロ)」と「ハザード」の両面につながる可能性があります。
 そうした研究を基に積水ハウスでは、子どもの身体や行動の特性を踏まえた子どものためのスマートユニバーサルデザインの住まいを提案しています。ここでは、今のお住まいに取り入れたり、住まいづくりの際に参考にしたりしたい子どもたちのための安全・安心な4つの「幸せTips」をご紹介します。

① 好奇心には危険が隣り合わせ:子どもは「気になるものがあれば、触ったり舐めたりして確かめたくなる」「キラキラ光るものや動くものに興味を持つ、近寄ってそれが何か確かめる」という行動特性を持っています。とても好奇心豊かで微笑ましい反面、「誤飲」や「やけど」など、重篤な事故につながることも想定されます。子どもたちは好奇心には逆らえません。薬・ボタン電池・洗剤など口に入れると危険なもの、熱いものや刃物など手を触れると危険なものの収納には、確実な施錠や隔離が必要です。また「突起があると触れたくなる、ボタンがあれば押したくなる」という特性もあるので、コンロや包丁にはチャイルドロックをしておきましょう。また、モノを入れたり触りたくなったりするコンセントの穴も、使用していないときはカバーやキャップ等を付けるといいでしょう。安全に好奇心を満たせる環境を作れるといいですね。

② 浴室は危険がいっぱい:子どもは水の動きや感触に引き寄せられるもの。水があれば、手や足を浸して感触を楽しみたくなります。ただし、子どもは少しの水でも溺れたり、滑って転倒したり、温度が分からず火傷したりと、事故やケガにも繋がります。浴室は住まいの中で最も危険な場所のひとつです。手すりをしっかり握ることも難しいので、入浴中は滑って転んだりしないよう、とにかく子どもから目を離さないことが重要です。また、入浴以外はひとりで浴室に入ってしまうと、 浴槽に転落し、残り湯で溺れてしまう恐れもあるので、浴槽に水を貯めておかない、扉は必ずチャイルドロックを掛けておくなど浴室の対策を忘れずに行いましょう。


③ 窓・ベランダ・バルコニーからの転落を防ぐ:子どもは「よじ登れそうな場所を見つけると登りたくなる」「アンバランスを楽しむ、不安定なところに乗ったり回転したりしたくなる」というような行動特性があります。家の中の事故・ケガ・ヒヤリハット経験でも多かった「転ぶ・ぶつける・落ちる」につながることも想像できます。頻度が高いため完璧な対策が難しいかもしれませんが、重篤な事故をふせぐ対策は確実に行いたいもの。ベランダ・バルコニーに出る窓には、3歳未満の乳幼児が手の届かない高さ(床から1.4メートル)にロックや網戸ロックを付けることで、勝手に窓やバルコニー等へ出て転落することを防ぐことができます。すぐにロックの取り付けが難しい場合も、窓の前にベッドや棚などベランダや窓に子どもがよじ登れるような物が置いていないか確認する、ベランダの室外機に登れないようにするなどの対策を行いましょう。


④ 子どものためのスマートユニバーサルデザイン:積水ハウスが考える、子どものためのスマートユニバーサルデザインは、子どもの住まいでの活動をサポートする、“子育ち”の思想に基づき、小さくても、力が弱くても、自分でできるようになっていくためのデザイン、常に親が危険のないように見守らなくても、安心して行動できるようなデザインを目指しています。例えば、万が一転んでもケガの被害ができるだけ小さくなるよう歩行面が柔らかい素材のカーペットやフロアマットを選ぶことも対策になります。クローゼットであれば、操作部やハンガーパイプの高さなどを子どもでも手が届くようにすることで、「ひとりでお片付け」の習慣を身につけることを促せるなど、子どもの自主性と安全を確保するデザインを提案しています。


住生活研究をはじめとする住まいの専門家 河﨑由美子メッセージ



高いところや狭い場所、動くものにも興味があって、パパとママのすることも真似してみたい。子どもはいつだって好奇心旺盛ですよね。でも、その好奇心にヒヤッとすることも多いのではないでしょうか。調査でも、家の中で大人が一緒にいても、事故やケガが多く起きていることがわかりました。子どもにとって住まいは、いちばん身近な遊び場です。日々の遊びを通して、様々な体験の積み重ねは、子どもの成長の大きな力にもなります。
積水ハウスは、永年子どものためのスマートユニバーサルデザインの調査研究を行ってきました。まずは子どもの身体や行動の特性を知り、きちんと危険を防いで、子どもがのびのびと過ごせる環境を整えましょう。
「積水ハウスのモンテッソーリな家づくり」では、子どもの成長を支える住まいの工夫をご紹介しています。ぜひご覧ください。
▽積水ハウスのモンテッソーリな家づくりHP
https://www.sekisuihouse.co.jp/kodate/ideas/lifestyle/kids/montessori/


河﨑由美子
フェロー R&D本部
1987年入社。高校入学までの12年間を海外で過ごした経験や子育て経験などを生かし、総合住宅研究所でキッズデザイン、ペット共生、収納、食空間など、日々の生活に密着した分野の研究開発全般に携わる。
執行役員、住生活研究所長を経て2023年4月より現職。一級建築士。


<「住まいにおける子どものヒヤリハット調査」調査概要>
調査期間:2024年5月16日~19日
集計対象人数:480人
集計対象:0歳から小学2年生までの子どもを持つ全国の男女


<記事などでのご利用にあたって>
・引用元が「積水ハウス株式会社」による調査である旨と、引用元調査「住まいにおける子どものヒヤリハット調査(2024年)」の記載をお願いします。
・積水ハウス ウェブサイトの該当記事への下記リンクの追加をお願いします。
https://www.sekisuihouse.co.jp/company/research/20240913/

<積水ハウスの住生活研究について>




積水ハウスは2018年から人・暮らしの視点で、ライフステージ・ライフスタイル、そしてこれからの住まいのあり方の調査・研究を行っています。今後迎える「人生100年時代」には、暮らしにおける「幸せ」のさらなる追求が重要と考え、時間軸を意識した「住めば住むほど幸せ住まい」研究に取り組んでいます。研究を通して、幸せという無形価値、つまり「つながり」「健康」「生きがい」「私らしさ」「楽しさ」「役立ち」といった幸福感を高め、家族やライフスタイルの多様な変化に対応する幸せのかたちをお客さまへご提案することを目指しています。
これまでの調査リリース:https://www.sekisuihouse.co.jp/company/research/