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すべての子どもが共に過ごし、共に学ぶ「フジ虎ノ門こどもセンター」
~子どもも職員もその地に定住したくなる環境づくりから地方創生へ~
積水ハウス株式会社/2024年7月22日
日本全体が人口減少や少子高齢化の課題に直面する中、地方では働き手の不足や空き家の増加など、深刻な問題が長年にわたって続いています。
そんな中、積水ハウスは幼い子どもから大人、高齢者や障がいのある方まで、多様なライフステージに対応した住まいを提供する中で培ってきた、「生涯住宅思想」やユニバーサルデザインをはじめとした知見を活かして、医療や介護・福祉の分野にも活動を広げています。
「その地域にずっと住み続けたい」という地域の人の想いに応え、その土地に新しい価値と共生の場を生み出す「子育て支援センター」や「福祉施設」などの建設を通じて地方創生に力を入れています。
フジ虎ノ門こどもセンター
その取組みの1つとして今回ご紹介するのは、2019年に創設された「フジ虎ノ門こどもセンター」です。このセンターでは、幼児期から学童期まで、発達障がい児や不登校児も共に過ごせる環境を提供しています。小児科の不足や、増加する発達障がい児への対応として、「診療」「相談支援」「療育支援」をワンストップで提供できる全国初の取り組みとしてスタートしました。
「環境をよくしたい」、40年前から持ち続けていた地域の人々への想い
フジ虎ノ門こどもセンターを立ち上げたのは、富士山の麓、静岡県御殿場市で40年以上にわたり整形外科医院や高齢者施設を営んできたフジ虎ノ門グループ「社会医療法人青虎会」です。
フジ虎ノ門グループの会長を務めるのは、整形外科医、リウマチ専門医、スポーツドクターである土田博和さん。40年ほど前、「患者だけでなく、医師や看護師の働く環境と住環境を良くしたい」という強い思いから、御殿場市に「フジ虎ノ門整形外科」を開業しました。
フジ虎ノ門グループ会長の土田博和さん
「医師になって6年目、アメリカの病院を訪ねた際、その環境の良さに驚きました。汚くて暗くて狭かった当時の日本の病院とは異なり、どこも綺麗で靴のまま入ることができました。医療秘書がカルテを書き、医者は患者としっかりと向き合えていたことも印象的でした。医者が医者としていられる環境が非常に重要だと感じました。」と土田さんは振り返ります。
土田さんは「とにかく環境を良くしよう」と、将来性のある立地を選び、明るく綺麗で靴のまま入れる病院を設立しました。さらに、高齢の患者さんが多いことを踏まえ、老人保健施設や特別養護老人ホームも設置。35年前には怪我をしたスポーツマンのためのリハビリ用のプールも導入し、施設の充実に力を注いできました。
さらに、「働く場所をつくる」ことと「住む場所をつくる」ことはセットであるという考えのもと、医師や看護師の声を反映させながら職員寮の計画を進めました。
すべての子どもが共に過ごし、共に学ぶ、「フジ虎ノ門こどもセンター」
このように、地域の人々のために常に先進的な環境を実現してきた土田さんが率いる社会医療法人青虎会が、御殿場市と連携して行った取り組みが、フジ虎ノ門こどもセンター。テーマは「すべてはこどもたちのために」。医療・福祉・教育・保育など様々な機関と連携し、こどもを総合的にケアすることで、生きづらさや難病に苦しむこどもたちが安心して生き生きと過ごせる環境を提供しています。
すべての子どもたちがともに過ごし、ともに学ぶ
積水ハウスは、医療福祉やこども分野の経験と実績を活かして設計施工に携わりました。フジ虎ノ門こどもセンターで大切にしている、「発達障がいの子も不登校児も、幼児も学童期の子もみんな一緒に過ごせる環境づくり」を実現するため、社会医療法人青虎会と課題の共有や話し合いを重ねながら、様々なニーズに対応してきました。
例えば、すべての子どもが同じ空間で過ごし、交流や遊びを通して自然に心身の発達につながるよう、バリアフリーの設計に。また、積水ハウスがこれまで培ってきた障がいのある人の特性の理解や知見を活かし、聴覚過敏や触覚過敏への配慮や、転倒リスクへの対策も万全にしました。
児童発達支援の色とりどりの遊具(左)
放課後デイサービス室(右)
「感受性が豊かな子どもの時期に、発達障がいの子も不登校の子も壁をつくらず一緒に育つことが一番大事な教育ではないでしょうか。偏見をなくし、誰もが持つ素晴らしい一面を見つけることで、多様性を認め合えるようになることが大切です。」と土田さんは話します。
自ら遊びを生み出し感性を育む環境
広々とした庭は、子どもたちが自ら遊びを生み出せる場所となっています。ブランコなど固定の遊具はなく、子どもがその日の気分や想像力に応じて遊び方を自由に変えられます。
足に優しい芝生の園庭ではこどもたちが自由に駆け回る(左)
園庭を挟んで病院とこどもセンタ-を融合(右)
「子どもの頃に与えられた物で遊ぶのではなく、自分で遊びを見つけ、遊びの道具をつくりだす感性を磨くことはとても大事だと思います。」と土田さん。
「実は、建物の内装を選ぶ際に使った生地や材質のサンプル表を施設内に残していたら、それが子どもたちに大人気になっているんです。大人にとっては遊ぶものではありませんが、子どもたちはそれを、ページをめくりながらさわって感触を楽しんでいるということから、感性の豊かさが感じられますよね。」
子どもがその豊かな感性を生かして、自由や面白さを体感できることの大切さを語ってくれました。
さらに、建物内は動物たちのイラスト(ミロコマチコさんの絵)を施した楽しい雰囲気の空間にしたほか、日常の中で生命の尊さを学ぶことができるようにと、セラピードッグをはじめとした動物とふれあう機会も設けられています。
遊戯室の入口では「一緒に遊ぼう」と二頭の虎が待っている(右)
セラピー犬のフラニーとジョバンニが大活躍(右)
こうした取り組みと環境づくりの成果が認められ、フジ虎ノ門こどもセンターは、2023年度キッズデザイン賞「こども政策担当大臣賞」を受賞しました。多様性を受け入れ、新たな気づきと交流を促進している“インクルーシブデザイン”が高く評価されたのです。
次世代もまちも豊かに育つ「環境づくり」が地方創生のカギ
フジ虎ノ門整形外科病院やフジ虎ノ門こどもセンターの背景にある、「環境づくり」という視点は、地方創生を考えていくにあたりとても重要なことではないでしょうか。
地方創生のカギは、未来を担う若い世代が定住する環境を整えること。そのためには、夢を持ってチャレンジできる職場と快適な住環境が不可欠です。さらに、子どもが育ち学べる環境や、高齢者が健康を維持しながら楽しく暮らせるコミュニティの整備も大切です。
あらゆる人々が幸せに暮らせる環境が整えば、子どもをもったり歳を重ねたりしてライフステージが変わっても、「その土地にずっと住み続けたい」という愛着が育まれるのではないでしょうか。
積水ハウスで地方創生事業に携わる、地方創生戦略部長の友金は次のように語ります。
「フジ虎ノ門こどもセンターは子どものための施設でありながら、大人のための施設でもあります。例えば、職員の方々にとって、個性や能力を発揮して働ける環境であることも大切にされています。自分らしく働くことが「地域の子どもたちの役に立っている」と感じることで、その土地で働く喜びを見出せますよね。また、子どもをもつ暮らし手にとっては安心して頼ることのできる場所でもあります。子どもが育つよい環境や、いつでも相談できる場所があることは、保護者の心の安定にもつながります。
このような地域のあらゆる人々に寄り添った課題解決は、当社だけで成し遂げられるものではありません。パートナーとなる地域の事業者の方々と対話を重ね、その地域を取り巻く様々な課題を共有しながらともに考えていくことで、建物づくりから運営までの一連の流れを通じて、人々がずっと住み続けられる環境づくりを目指します。
積水ハウスでは地方創生事業において、これまで培ってきた専門的な知見を最大限に活かして地域のニーズにお応えしています。住まいづくりだけでなく、医療・介護・福祉の分野にも精通している当社だからこそ、地域が抱える複合的な課題の解決につながるご提案ができると信じています。」
積水ハウス 地方創生戦略部長 友金
積水ハウスはこれからも、「環境づくり」の視点を大切にしながら地域に新たな価値と共生の場を生み出し、人々が愛着を持って住み、健やかな未来を築いていけるまちづくりを行ってまいります。
関連リンク
積水ハウス 医療・介護・福祉
https://www.sekisuihouse.co.jp/medical/
フジ虎ノ門こどもセンター
https://www.sekisuihouse.co.jp/medical/welfare/example/toranomon/