住宅分譲地において生き物調査を実施 「5本の樹」計画に基づくまちづくりの生物多様性保全効果を検証
積水ハウス株式会社/2010年1月27日
積水ハウス株式会社は、生態系に配慮した当社独自の庭づくりの提案「5本の樹」計画に基づき緑化・植栽を行った住宅分譲地において、株式会社生態計画研究所(東京都東村山市 代表取締役所長:小河原 孝生 氏)と共同で生き物調査を実施し、「5本の樹」計画に基づくまちづくりの生物多様性の保全効果を検証した内容について、中間報告として発表いたします。 |
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この生き物調査は、当社分譲地において鳥や昆虫などの生息状況を実際に観察し、周辺地域との比較を行うとともに、植栽の成長に伴う生態系の経年変化を分析し、生物多様性の保全効果を検証するものです。平成20年9月に松山市の分譲地で実施した調査を皮切りに、全国6カ所の分譲地で順次調査を始め、平成21年夏の調査実施をもって経年変化を分析できるようになりました。この調査は、当社が平成13年から推進してきた「5本の樹」計画が生態系に与える効果を初めて評価分析するもので、住宅メーカーが自社の分譲地を対象として行う生物多様性の調査は、他に例のない取り組みです。また、一部の分譲地では、地域の住民が身近な環境で楽しみながら生物多様性について学ぶ機会となる、住民参加型の生き物観察会も実施しています。 |
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「5本の樹」計画は、日本の豊かな生態系を育んできた“里山”をお手本に、地域の気候風土に適した在来樹種を中心に植栽する庭づくりの提案です。当社は、まちづくりにおいても「地域の生態系の保全・育成」を指針の一つに定め、全国各地の分譲地で「5本の樹」計画に沿った植栽を進めてきました。平成21年夏の調査では、実際に、植栽の成長に伴って鳥の種類が前年度の2倍以上に増加したり、周辺地域よりも分譲地内の生き物の種類が多いという観察結果が得られました。 |
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本年10月に、名古屋市で生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開催されるにあたり、生物多様性の保全に向けた企業の一層の取り組みが期待される中、当社は、生き物調査を中長期的に実施し、「5本の樹」計画による緑化・植栽が生態系に与える効果を検証しながら、今後も生物多様性の保全に配慮した住まいづくりとまちづくりを推進していきます。 |
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※ 「5本の樹」は、積水ハウス株式会社の登録商標です。「5本の樹」計画に基づくまちづくりについては、当社のまちづくりの実例を紹介する分譲住宅フェア「まちなみ参観日」で見学いただけます。平成21年秋に開催した第8回「まちなみ参観日」では、全国57団地の分譲地を紹介しました。「5本の樹」計画の詳細は、下記ご参照下さい。 |
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■ 生き物調査の詳細 |
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○ 経年変化の分析――「コモンガーデン南吉田」 「コモンステージ松山」 |
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(いずれも愛媛県松山市) |
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松山市の2カ所の分譲地では、他の分譲地に先駆け、平成20年9月から調査を開始しました。 |
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平成21年8月の調査は、前年の調査と比較することで、生態系の経年変化を中心に検証しました。その結果、「コモンステージ松山」で鳥類が3種から8種、昆虫類が4種から32種に増えるなど、それぞれの分譲地で生き物の種類の増加が確認できました。また、大型トンボのギンヤンマやイエコウモリの飛来、アゲハチョウ類の増加などから、植栽の成長に伴い、生き物にとっての採食地や周辺地域から移動してくる空間として、分譲地が利用され始めたことが分かりました。 |
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○ 周辺地域との比較――「コモンシティ青葉のまち」(宮城県仙台市) |
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仙台市中心部に位置する「コモンシティ青葉のまち」は、分譲地内の公園に、既存のクロマツやサワラ、ヤブツバキなどを残すとともに、「5本の樹」計画が提案する在来樹種を多く高密度に植栽しています。周辺地域は植栽がそれほど多くなく、近隣の面積約1ヘクタールの公園でも4種の鳥しか観察できなかったのに対して、分譲地内では8種の鳥を観察できたことから、「5本の樹」計画に基づくまちづくりが、生物多様性の保全につながっていることが実証されました。 |
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○ 住民参加型の調査手法の導入 |
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生き物調査は、専門家と社員による観察を基本としますが、すでに松山市や仙台市の分譲地では住民参加型の調査手法を導入し、調査の一部を分譲地のオーナー様や子どもたちが参加する生き物観察会として実施しています。住民参加型の調査は、自分たちの住宅を取り囲む自然環境や生物多様性の大切さを学ぶ機会となり、住民同士や家族間のコミュニケーションの活性化も期待できるため、今後はさらに拡大していきたいと考えています。 |
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■ 調査を実施している分譲地(調査開始順) |
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<参考資料> |
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■ 積水ハウスの生物多様性の保全に向けた取り組み |
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生物多様性への関心が高まり企業の役割が重視される中、当社は、本業である住宅事業において、「5本の樹」計画による緑化・植栽と、独自に策定した「木材調達ガイドライン」に基づく持続可能な木材利用などに注力し、生物多様性の保全に取り組んできました。また、消費者と連動した取り組みとして、生き物調査での住民参加型の生き物観察会のほか、生態系に関する教育支援プログラム「Dr.フォレストからの手紙」や「5本の樹・野鳥ケータイ図鑑」を提供しています。 |
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当社は、平成11年に発表した環境未来計画で「人・街・地球」の調和を目指し、平成20年の「エコ・ファーストの約束」で生態系の再生を約束の一つに掲げるなど、生物多様性の保全を企業活動に必要不可欠な課題と位置づけ、推進してきました。今般の生き物調査には、本業を通じての生物多様性の保全に向けた取り組みを評価し、「見える化」する意義もあります。 |
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○ 「5本の樹」計画の推進 |
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当社は平成13年より、「3本は鳥のために、2本は蝶のために、地域に合わせた日本の在来樹種を」をスローガンとして、人間だけでなく多様な生き物が住みやすい環境となるように、生き物にとって利用価値の高い在来樹種をお客様の庭に植えていただく「5本の樹」計画を推進してきました。当社は、「5本の樹」計画に基づく緑化・植栽により、住宅の庭に小さな“里山”を生み出し、それらを広げていくことで、生物多様性の保全に貢献する「里山ネットワーク」と、緑豊かなまちなみの形成に取り組んでいます。「5本の樹」計画の取り組みは、平成18年度のグッドデザイン賞(新領域デザイン部門)を受賞するなど、社会的評価を受けながら拡大し、平成20年度の年間植栽実績は85万本に達しています。 |
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「里山ネットワーク」 |
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○ 「5本の樹・野鳥ケータイ図鑑」(サイトURL: http://5honnoki.jp ) |
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平成19年10月から当社は、携帯電話で鳥や樹木の種類や鳴き声を確認できるサイト「5本の樹・野鳥ケータイ図鑑」を運営しています。住宅や住宅展示場の樹木に設置した「植栽カード」のQRコードから、だれでも手軽に樹木の解説やお手入れ方法などを調べることができるほか、自然観察の際などにも利用できるツールであり、現在、年間約10万件のアクセスがあります。 |
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○ 生物多様性に関する教育支援活動 |
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当社は、校庭などの身近な自然に触れながら生態系の大切さを学ぶことのできる小学生対象の教育支援プログラム「Dr.フォレストからの手紙」を提供しています。教育現場で使える教材が WEB上でダウンロード できるほか、社員が講師として小学校に出向き、授業を行うケースも増えてきています。 |
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また、当社が本社を置く新梅田シティ(大阪市北区)の敷地内に造成した「新・里山」(約8,000㎡)では、近隣の小学校や幼稚園に通う子どもたちに、田植えや稲刈り、野菜づくりなどの一連の農作業体験を通じて、自然共生の大切さを学んでもらう教育支援活動を実施しています。 |
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「新・里山」での小学生の稲刈り |
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☆生物多様性の取り組みに関するサイトは こちら |
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<本件に関するお問合せ先>
積水ハウス株式会社 ※掲載内容は発表時点のものであり、現在の内容と異なる場合がありますのでご了承下さい。 |
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