建設業界初 新築施工廃棄物処理の「広域認定制度」認定取得

積水ハウス株式会社/2004年9月30日

   積水ハウス株式会社は、2004年9月17日に廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、廃棄物処理法)第15条の4の3第1項に規定する環境大臣の認定(以下、「広域認定制度」 *注1 )を、建設業界で初めて受けました。
 
   この制度は、メーカーが複数の都道府県にまたがって使用済みの製品などを回収・リサイクルをする際に、処理能力等一定の厳しい基準に適合していると環境大臣が認定すれば、収集運搬や中間処理、最終処分を委託する場合でも、廃棄物処理業の許可を不要とする廃棄物処理法の特例制度で、当社にとっては新築施工現場の廃棄物対策を効率化しリサイクルを推進しやすくする制度といえます。
 
   当社新築住宅の場合、一棟で約6万点もの建築部材を使用します。「工業化住宅」という「製品」について、メーカーとして新築施工現場から発生する廃棄物の回収、管理からリサイクルまでの一連の工程を統括して管理できる体制を評価して認定されたものです。現在、広域認定制度を取得している企業の多くが石膏ボート、断熱材など、比較的リサイクルが容易な単一素材メーカーであるのに対し、今回の認定は、多種多様な材料・複合部材を対象にしていることが当社の認定取得の大きな特色です。他業種においての複合部材での認証もパソコン等数例しかなく、建設業としては我が国で初めての取得となります。
 
 
◆当社の「広域認定制度」取得によるメリット
マニフェスト管理に代表される廃棄物処理法を介在する廃棄物マネジメント、リサイクルではなく、自社の直接的なコントロールの下で、実態に即した責任ある廃棄物マネジメントとリサイクルが実施できます。
自社工場(注:工場内で発生する廃棄物についてはゼロエミッション達成済み *注2 )の下に設置した「資源循環センター」を核にしたリサイクルの推進が可能となり、自社リサイクル材の採用拡大も図ります。
小さな現場が各地に散在し、短い工期の間に多品種の建材が使用されるという住宅新築現場の特性に即した効率的な回収・リサイクルが可能となり、これにより、廃棄物移動の合理化やCO 2 削減、コスト削減に寄与します。
 
 

   当社は、1999年に発表した環境憲章・環境基本方針を定めた「環境未来計画」に沿って様々な環境保全活動を展開してまいりました。

 
   また、2004年1月から全国で「新築施工現場ゼロエミッション」プロジェクトを開始し、2005年度中の達成を目指して活動しておりますが、今回の認定取得によって、廃棄物を委託して処理していたものをリサイクル業者に切り替えることにとどまらない、質の高い、より責任ある体制での効率的な「新築施工現場ゼロエミッション」の推進を実現できる体制が整いました。
 
   当社は環境に対する先進的で積極的な取り組みを今後もなお一層強めてまいります。
 
 
【ご参考】
*注1:広域認定制度制定の背景
  現在、循環型社会形成推進基本法の下、循環型社会に向けた取り組みが産業界レベルでも大きな経営テーマとして進められています。製品の製造を担う産業界においては、特に産業廃棄物のリサイクルが重大な課題となっておりますが、同時に廃棄物の不適正な処理を抑制するための廃棄物処理法の厳しい運用が効率的なリサイクル推進の障害となるケースがあることが指摘されていました。
   
  そこで、自治体の枠を越えた広域的なリサイクルを促進するために、産業界の規制緩和要求を受け改正廃棄物処理法(2003年12月)で新設されたのが、大臣認定の制度である「広域認定制度」です。
 
*注2:当社の「ゼロエミッション」計画について
   
  当社では、2002年に全国6ケ所にある全ての工場において、生産から排出されるあらゆる廃棄物について、「単純焼却しない、埋め立てない」を内容とする「工場ゼロエミッション」を達成済みです。
   
  現在取り組み中の「新築施工現場ゼロエミッション」は、全国の新築施工現場から排出される廃棄物について、2005年度中に同様のゼロエミッションを達成することを目的として、2004年1月からスタートした全社プロジェクトです。
   
  これは、廃棄物を単にリサイクル業者に引き渡して終わりというゼロエミッションではなく、自社で徹底した分別(新築施工現場で27種→搬入先の工場では更に60種に)を行った上で、可能なものは積極的に自社内リサイクルを進め、リサイクル業者への委託を行うという積水ハウスグループ全体での一貫した責任体制に特徴があります。
   
  2004年9月現在、全国の対象120事業所のうち、工場に近接する事業所を中心に12事業所がゼロエミッションを達成しています。全国では、すでに114事業所(95%)が、ゼロエミッションの前提となる新築施工現場内での27分別を実現しています。今回の認証取得による工場への搬入開始で、ゼロエミッションは一気に加速すると見込まれます。
 
 
 
<従来:廃棄物処理法の枠内でのリサイクルシステムと課題>
 
◆不適正処理抑制のための規制が、効率的なリサイクルを制約する場面もある
 

【リサイクルの効率化に対する制約】
廃棄物の内容に拘らず、新築施工現場から発生する廃棄物については、原則として廃棄物処理法の厳しい適用を受ける。
具体的には、収集運搬を委託する際にも廃棄物処理法に基づく許可が必要となり、建設系のマニフェストの発行管理や最終処分の確認等が義務付けられる。また、自治体の行政区域にまたがる収集・運搬や処理に関して各行政の許可を取得することが必要とされた。
 
産業界の規制緩和要求を受けて、改正廃棄物処理法(2003年12月)で効率的なリサイクルのための制度が新設された。
 
【広域認定制度(制度概要)】
製品が廃棄物となったものであって、当該廃棄物の処理を当該製品の製造、加工、販売等の事業を行う者(=製造事業者)が都道府県の区域を越えて広域的に行うことにより、当該廃棄物の減量その他の適正な処理やリサイクルが確保されることを目的として、廃棄物処理業に関する法制度の適用が緩和される環境大臣の認定による特例制度。
ただし、製造事業者等が自ら処理を担うことにより、製品の性状、構造を熟知していることで高度な再生処理等が期待できること等、第三者委託では得られない適正処理のメリットが得られる場合に、一定の厳しい条件 を満たす場合に限って認められる。
  廃棄物の処理を製造事業者等が担うことにより、処理にかかる廃棄物の減量その他適正な処理が確保されるものであること。
  廃棄物の処理を行う者の事業の内容が明らかであり、かつ、当該者にかかる責任の範囲が明確であること。
  一連の処理の工程を統括して管理する体制が整備されていること。   他
 
<新築施工現場での「広域認定制度」を活かしたリサイクルシステムとメリット>
 
◆今般の取得によって、責任のある効率的なリサイクルが更に進む
 

【当社における「広域認定制度」認証取得のメリット】
建設系マニフェスト(産業廃棄物管理票)によらず、自社の実態 * に即したオリジナルの運用システムによる管理運用が可能になる。
 

*

戸建住宅の新築施工現場においては、一現場から一時に発生する廃棄物は(工場のように一箇所から同種の廃棄物が大量に発生するケースと異なり)多品種、少量の個別散在型である。したがって、本来は複数の現場を巡回して回収することが効率的であるが、廃棄物処理法ではそのような事態を想定した規定が設けられていなかった。今回の認定取得により、こうした実態に即した効率的な回収が可能となる。
廃棄物の広域移動、移動の合理化を図るための積み替え保管施設等の設置については、各行政からの許可が不要になる(但し、一部自治体では届出を要する)。
廃棄物の収集運搬を委託するにあたり、委託先企業の廃棄物処理法に基づく収集運搬業の許可が不要になる。
これらにより、廃棄物移動の効率化が図られるため、排出CO2の削減及び運送コストの削減が期待できる。
当社中心のリサイクルシステムが組めるため、委託先における不測の事故リスクが回避され、確実な適正処理が実現できる。
 



本件に関するお問い合わせ先
積水ハウス株式会社
広報部
TEL06-6440-3021
東京総務部
TEL03-5352-3113