熊本県山都町 定住促進住宅

安心のコミュニティを生む
ZEH仕様の子育て世帯向け定住促進住宅

敷地面積:2,242㎡ 延床面積:979㎡
棟数・戸数:1棟12戸(2LDK)構造:軽量鉄骨造2階建

背景とニーズ

  • ・山都町では20〜30代の若者の人口流出が続く原因のひとつが、若者が結婚を機に住まいを考えた時に満足できるような魅力的な住まいが町内に少ないからだと分析していた。
  • ・町外の移住先で生まれ育った子どもたちにとっては山都町が「ふるさと」ではなくなってしまうという危機感から、町では子育て世帯向け定住促進住宅の整備を計画し、PFI法に基づきBTO方式による事業者を公募。
  • ・山都町は内閣府「SDGs未来都市」に選定されており、「サステナビリティビジョン2050」を掲げる積水ハウスとは親和性があると考えられた。

ソリューション

  • ・山間部の田舎でありながら都会的な集合住宅で暮らす「ヤマトカイナカ」(山都町×都会的×田舎暮らし)をコンセプトに、高級感のある共用玄関やオートロック、雨風を避けられる内部廊下など、ホテルのような仕様で憧れを満たす、若者・子育て世帯に適した計画を提案。
  • ・天候に左右されずにいつでも子どもたちが遊ぶことができるように、地元産の木材を利用した太い柱をシンボルとする、ベンチのある吹き抜けの共用エリアを設けた。このエリアを通って各住戸に行く動線にすることで、入居者同士が顔を合わせる機会をつくり、コミュニケーションを育むことも狙いとした。また、共用部の吹き抜けに面した2階にパソコン作業や勉強・読書ができるスタディコーナーを設置し、ここでも子どもたちを見守れるようにした。
  • ・共用玄関外のアプローチ際には「ウェルカムコモンパーク」を配置し、地元の祭りの時にはイベント観覧が行えるなど、入居者同士だけでなく地域住民の交流の場として使えるようにした。
  • ・道路に面した北側に建物の顔をつくり外観のデザイン性を高めた。また、共用エリアを囲むように専用住戸を配置した上で、北向き住戸でも室内が明るくなる工夫を行うなどして価値を上げることとした。
  • ・地域優良賃貸住宅制度に合致する設計により、国からの補助金を獲得。また、ZEH仕様として太陽光パネルを屋根に設置することで、家賃・駐車場賃料収入に加えて、共用部の電力利用のほか、売電収入が得られるように計画した。
スキーム図

成果

  • ・住居戸数を超える入居希望が町内外からあり、若者・子育て世帯の定住促進に成功した。
  • ・子どもを見守りながら調理ができる対面キッチンや、家事のしやすい回遊動線などが入居者に好評。共用エリアは子どもたちが楽しく過ごせるお気に入りの場になっている。
  • ・地域優良賃貸住宅補助金の活用や、売電収入により運営費のコスト負担軽減が実現し、町の健全財政化に貢献できた。

入居者コメント

  • 「以前の住まいは子ども一人で留守番させている時には心配で仕方ありませんでしたが、今はセキュリティがしっかりしているので、安心できて心が軽くなりました」
  • 「綺麗な建物と室内なので、子どもが友達を連れてくるようになりました」
  • 「入居者がみんな子育て世帯なので、子どもたちが多少騒いでもお互い様と思えて安心です」