NAGOYA GRANDE STORY 街の記憶

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街の記憶

土地が培ってきた歴史を、未来へと引き継ぐ。人々がその風景と文化を大切に守ってきた地域で分譲マンションを手掛けてきた〈グランドメゾン〉。長い時間の中で自然と人が親しく過ごしてきた同地の物件に込めた作り手の想いと、その場所で日々新たな記憶を重ねている方々の声を聞いた。

快適、利便、安全に「美しさ」を
加える。

尾張徳川家の祈祷寺「八事山興正寺」に由来し、風光明媚な景勝地として近代以後は別荘地としての歴史も持つ八事丘陵の西部。「グランドメゾン清水ヶ岡」が建つ名古屋市瑞穂区彌富町は県内有数の高級住宅エリアとして知られる。
2001年竣工の同物件の設計において、「歴史深い地に建つ住まいとしてふさわしい、街の風景に馴染む建物となるように考えられています」と話すのは、積水ハウス名古屋マンション事業部設計室の石井弘行さん。

「この地域は良好な自然的景観の保全を図るため風致の維持が必要な風致地区にあり、低層住宅のための良好な住環境を保護するために定められた「第一種低層住居専用地域」に指定されています。そんな地域だからこそ、快適性、利便性、安全性は当然のこと、そこにグランドメゾンならではの美しさと落ち着き、うるおいを加えたいと。その結果、全体のプランをあえて雁行させることで陰影とアクセントをつけ、壁式構造(柱や梁などの太い構造体でなく壁で建物を支える構造)により最少の線だけを見せる、シンプルかつ洗練されたデザインが生まれました」

近隣地域で古くから間知石擁壁に使われてきた白御影石を使った石積みと豊かな植栽は、竣工から20年を経た現在も、街並みに溶け込み調和している。
「外壁の二丁掛タイルほか、随所に施した本物の天然素材は、年月を経るほどに味わいが増していきます。これから先の未来にも、地域の中で美しくあり続けてくれるはずです」

人々に愛され、
街に貢献する住まいへ。

住宅地での展開が多いグランドメゾンにおいて、「グランドメゾン御園座タワー」は都心ど真ん中、名古屋の商業・業務機能の集積地であり、また明治以来の演劇文化の拠点である歌舞伎劇場「御園座」の上階に建つ複合型の超高層マンションであるという点で、特別な存在と言える。

2011年、「御園座」の建て替えにあたり建築家・隈研吾氏が劇場・店舗及びマンション共用部分の意匠監修を手掛けた。開場以来、百数十年も多くの人々に愛されてきたこの地における新たな住まいづくりについて、積水ハウスの設計担当(当時)として携わった瀬戸守さんはこう語る。
「御園座は市民の方々が集う文化拠点であり、地域を象徴するランドマークでもある。だからこそ、流行に左右されない、東西南北どの角度から見てもプロポーションの良い、シンプルで美しい建物にしたいと考えました。もちろんシンプルと言っても、シンプルに見せるためには非常に多くの工夫が必要なのですが」

住む人だけでなく、街の人々にも親しまれ、愛される場所へ。「街にどれだけ貢献できるか」を目指し、さまざまなアイデアを計画に盛り込んだ。建物を可能な範囲でスリムにして公開空地を生み出し、敷地周辺の街路に木陰やベンチを設けて回遊性を高め、イベントスペースとしても使える場所に。また敷地内に雨水流出を抑制する計画を施し、劇場ロビーを災害時の帰宅困難者待機スペースとして確保するなど防災面にも配慮した。

「街を活性化させる、地域に根ざした複合型のマンション。お住まいの皆さんに誇りを感じていただけるような住まいを提供していきたいと考えています」

人々を迎え入れてきた街。

1980年代から現在まで多くの〈グランドメゾン〉が供給され続けている覚王山エリアは、名古屋市東部の丘陵地に位置し、古くは名古屋城下の人々に「月見の名所」として知られた地。1904年に建立された「日泰寺」を中心に栄え、近年は高い人気を誇る居住区としても認知が高まっている。毎月開かれる縁日に多くの人々が集まる参道には、人気のスイーツ店やカフェなどが出店して話題となることもしばしば。

「今では高級住宅街というイメージのある覚王山ですが、僕にとっては昔ながらの“地元”の街」と語るのは、参道沿いで「Side Lish お総菜とカフェのお店」を営む臼井秀騎さん。近隣の本山地区にあった、祖父が戦後に開いた惣菜屋「サノヤ食品」を実家として、「金時豆をおやつに育った」と話す。
「野菜やお菓子も売っていた、現代のコンビニみたいな店でしたから、近隣のあらゆる人が出入りする場所で、お客さんの多くは顔見知り。今も近所には知人がたくさん暮らしていて、実はこの店が建つ場所も同級生が所有していた土地なんです」

Side Lish お総菜とカフェのお店 オーナー
臼井秀騎さん

自然に食の道へ進み、和食の世界で長く修行した後、2020年に祖父の代からの屋号を引き継いで起業し、小さなカフェを開いた。
「地元の方々に気軽に入っていただけるお店にしたいので、『毎週食べても飽きない味』を意識しています。看板メニューの角煮オムライスも、味は優しく控えめに。中身の混ぜご飯も、ひじき、さつまいも、栗、きのこなど季節や時期によって変化させています。暑い日ならわずかに味を濃い目に調整したり。常連さんからリクエストやヒントをいただいたりすることも多いですね」

かつては長屋の店舗が立ち並んでいたという参道の風景も今はすっかり変化したが、「まだまだ下町の人情味は残っている」という。
「近隣のお店同士で足りない釣銭を貸し合ったり、使い切れない食材を譲り合ったり。コロナ禍で大変だった時期も近所の方々に支えられた。食を通して地域に貢献していけたらと思っています」

「Side Lish」から歩いてすぐ、長屋の面影を残す店舗で半世紀近くも営業を続けるのは紅茶専門店「えいこく屋」。1970年代にオーナーがインド・スリランカ・ヨーロッパと独自のコネクションを築き、質の高い紅茶の直輸入を始めたのみならず、インドからシェフを招聘してインド料理店も併設。名古屋でインドカレーを出す店としては2番目に早かったという。同店商品部のスタッフ米山将太さんは、学生時代にアルバイトから働き始め、20年ほど両店を見続けてきた。

「どちらのお店にも、老若男女の幅広いお客様がいらっしゃいます。縁日はもちろん、春夏秋と年に3回開かれる『覚王山まつり』もたくさんの人で賑わう。そのせいか、このエリアは外から来られる方に対して寛容な方が多いという印象があります。私自身も覚王山にまったく地縁はありませんでしたが、受け入れてもらえた。そうした温かい人付き合いのある街なんですよね」。

えいこく屋 商品部
米山将太さん

  • 「◉」はマップ内のグランドメゾンを示しています。
  • ※ 掲載している物件情報は2024年10月時点のものとなります。
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