長屋門の奥に LDK

長屋門の奥に〜縁から園〜

50代ご夫婦とお母様の住まいです。

建築地は、幹線道路から少し入った住宅地で所々に田んぼや畑もあり、長屋門が残っている住宅も多い地域です。今回の計画は、この長屋門を残す建替計画です。

施主様の希望は、『玄関から土間でつながったリビング』『快適に過ごせる空間・空調計画』『お母様のスペースとの関係性』でした。これらのご要望から、中庭を通り抜ける計画を提案しました。

既存宅にあった川石を利用し水の流れを作り、石橋を渡り、様々な樹木の中を通り抜けリビングへ入る。水が流れる音・雨の音・葉のそよぐ音・花の匂い・手水鉢・景石・樹形・紅葉・夜景・テラスでのお茶・・・四季を感じ、五感で感じられる中庭としました。中庭を計画する事で、玄関空間とリビングを視覚的に適度に繋げ、空調負荷も最小限としました。

平面構成は、中庭を取る事で、適度な光を取り込み、風が通り、景色を楽しみながらプライバシーに配慮しています。出来るだけ行き止まりが無い動線計画とし、各個室は、LDKを優先し、あえて外に向けて小さく計画しました。又、ご夫婦スペースとお母様スペースを左右で分け、生活時間帯の違い・プライバシーに配慮しました。お母様の寝室前には既存の樹木を移植し、長屋門を背景に昔の景色・思い出を残しています。

長屋門との関係性を考え、軒を深くし和瓦とし、無垢の格子を前面に設置する事で、共に経年変化し、共に歴史を刻める様計画しました。アプローチには既存の敷石を再利用しています。

中庭に小さな自然を作りました。室内に落ちる木々の影、水の流れる音など、季節のうつろいを感じ、安らかな空間に相乗効果が生まれることを期待しました。

長屋門の奥に 中庭夜景

〜縁から園〜

縁で繋がり園に集まる

入り口の『円』は、良き出会いを願う『縁』。農業にとって、とても大切な『太陽』を意味する。そこから伸びる、真っ直ぐのアプローチ『光』が玄関へと繋がり、人々を入り口へと導く。扉を開けると、屋外からは見えない囲まれた中庭『園』。そこには雲から太陽が出る様子をデザインされた水鉢。降り注ぐ光のように、湧き出る『水』は癒しの音色と共に、川の流れをつくりだす。『太陽』と『水』は施主様にとって、常に身近にあり、その存在は中庭にて『癒し』へと変わる・・・

長屋門の門・・・軸(光)を意識した平面計画
長屋門の影のライン・・・円(太陽)を意識した外構計画

長屋門の奥に 中庭2・アプローチ
長屋門の奥に 門
長屋門の奥に 水鉢
DATA

敷地面積:635.15㎡

延床面積:206.75㎡

階  数:平屋

家族構成:夫婦+親1人

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