僕の小さくて大きい家
僕の家はおかしい。
小さいくせに、なぜか大きい。
外から見ると小さいのに、
中に入ると途端に大きい。
みんなは、気のせいだよ、と言うけれど、
気のせいじゃない。ぜったいに大きい。
おかしいのはそれだけじゃない。
このあいだまで寝室だった部屋が、
いまでは食卓になっていて、
物置だったあの部屋も、気づくと書斎になっていた。
ちょっと目をはなした隙に、
この家はどんどん形を変えていく。
ほら、そこも。
さっきまで廊下だったところに、
いまはテーブルが置かれている。
こども部屋の勉強机だって、
いつのまにかグランドピアノになっていて、
ほら、妹が弾くワルツが聞こえてくる。
おかしいのはまさか僕?
いやいやいやいや、そんな訳ない。
おかしいのはこの家だ。
小さくて大きくて、目をはなすと、ほら、また。
僕の家はおかしい。
なんでこんなにおかしくて、
なんでこんなに楽しいんだ。
あなたの「物語」へつながる日。
家族の成長とともに変化する
フレキシブルな住まい
ハウスメーカーへのイメージを一新する出会い
結婚後、奥さまの実家を自らリノベーションして暮らしていたMさま夫妻。「数年間暮らす中で、一家でこの地に根ざすために、家を建て替えようと決意しました」と話す旦那さま。建築を学んだ旦那さまとフラワーデザイナーの奥さまは、家づくりにかける思いも人一倍。「ハウスメーカーは画一的な家づくりをするイメージがあり、私たちの思い描く家は実現できないだろうと思っていました」(奥さま)。
そんな夫妻の思いを変えたのは、積水ハウスの設計士との出会いだった。建て替え前の家を訪れた設計士は、「どんな家を建てたいか」は一切問わず、Mさま家族のライフスタイルや生活習慣をじっくりと聞いた。「これまで会った設計士とはアプローチが全く違って、驚きました。インテリアの趣味や建築についての考えに共通点も多く、この人の提案するプランを見てみたいという気持ちが生まれたのです」(旦那さま)。
期待のさらに上をいく変幻自在の空間
Mさま邸の敷地は21坪。狭い土地を活かすため、夫妻は当初、2階バルコニーで植物を育てる空中庭園のような住まいを考えていた。「ところが設計士さんの提案は、壁のフェンスに蔓をはわせる壁面緑化でした。自分たちでは想像もできなかったアイデアで、とても新鮮でした」(奥さま)。週に1度の設計士との打ち合わせは、Mさま夫妻にとって心躍る時間になった。旦那さまは「僕たちの予想を超える設計士さんの提案を、打ち合わせをしながら磨き上げていく。その過程が楽しくて仕方なかった」と振り返る。
「部屋数は必要ない、家族で過ごせる場所がほしい」という夫妻の希望は、さまざま用途に対応するフレキシブルな間取りとして実現した。その一例が、2階の壁付カウンターのあるスペースだ。「通路であり、食卓であり、時には妻のお花のレッスンの場にもなります。必要に応じてカタチを変えるカウンターは、私たちの希望を取り入れて設計してもらったものです」(旦那さま)。
いつまでも大切に育て続けたい家
Mさまご家族が、この家に暮らし始めて15年が経つ。夫妻は「住むほどに味わいが増します。家を建てることはゴールではなく、始まりなんですね」と微笑む。設計士との付き合いも、歳月とともに深まった。家具選び、前庭への植栽、数年後の壁紙の張り替えなど、住まいに手を入れるときは必ず設計士に相談し、方向性を決めているという。
今年の春、Mさまご家族に大きな変化が訪れた。大学進学を機に、息子さんが長年暮らした家を巣立ったのだ。「子ども部屋が娘の個室になり、その部屋に娘が弾いているピアノを置くことになりました。建てた頃には想像もできなかった変化です」(奥さま)。「家族の成長とともに空間の使い方を変えられるのも、僕たちが工夫する余地のある空間を設計してくれたから。これからもずっと、この家を大切に育てていきたいですね」(旦那さま)。