2024/12/13
1年で一番、街がきらめく季節になりました。クリスマスへ向けて子どもたちが日に日に期待を膨らませるなか、大人たちは「今年は何をプレゼントしようか」と考えつつも、その前に師走でバタつく仕事や家事を片付けないと……と多忙な日々を送っていると思います。
今回は、そんな忙しい大人たちのクリスマスプレゼント選びを助けるべく、モンテッソーリ教師・あきえ先生にクリスマスにぜひ贈りたい、モンテッソーリ的おすすめ絵本を選んでいただきました。まずはどんな視点で絵本を選ぶと良いのかについて伺っていきます。
INDEX
絵本を選ぶとき、モンテッソーリ教育では“現実に即しているかどうか”をとても大事にしています。たとえば、人間が空を飛んだり犬が自転車に乗ったりする、そういったファンタジーな絵本ではなく、犬は犬として、人間は人間としてリアルな世界の中で描かれているものを選びます。物語だけでなく、絵本の絵についても同じです。出来るだけ写実的に描かれたものが良いですね。
というのも、0歳から3歳くらいの子どもは、あらゆる神経を一生懸命に働かせながら“今この世界では何が起こっているのか”を知り、日々適応しようとしている時期なので、絵本もその世界ときちんと並走し、時には手助けやヒントになってくれる方が良いとモンテッソーリ教育では考えているからです。
子どもの想像力は、だいたい9歳くらいから本格的に発達すると言われています。それまでは、まずは“この世界の本当”をたくさん知り、原体験を増やしていく。その先で想像力を積み重ねていけたらいいですよね。きっとその方がイマジネーションも飛躍すると思います。
そんなことを改めてふまえながら、クリスマスに贈りたい絵本をいくつか選んでみました。この時期は街の書店でもクリスマス絵本のコーナーが設けられているところもあるので、大人から子どもへ贈るのはもちろんのこと、一緒に選ぶのも良いかもしれないですね。
01 ふしぎなナイフ
(作:中村 牧江、林 健造/絵:福田隆義/出版:福音館書店)
おすすめ年齢:3歳〜
まさにこれは、写実的な絵が主役の一冊です。誕生したときから1歳を過ぎると「言葉の敏感期」と呼ばれる時期に突入して、少しずつ言葉に対して興味を持ち始めますが、この本では“ねじれる”とか“ちぎれる”とか、そのニュアンスや違いを伝えるのが難しい言葉が実際どういうことなのかを教えてくれます。言葉と現実を具体的に結びつける手助けをしているような本ですね。
シンプルな言葉の繰り返しなので、読んでいても楽しいですし、最後に待ち受けているユーモアも私は大好きです。次にこのナイフはどうなってしまうのだろう……と何度読んでもワクワクします。
02 ゆきふふふ (はじめてであうえほんシリーズ)
(作:ひがし なおこ/絵:きうち たつろう 出版:くもん出版)
おすすめ年齢:0歳〜
日本ならではの四季を感じられるのはもちろん、手のひらに乗った雪が溶ける描写などで五感を刺激してくれる絵本です。雪を体験する前でも、体験したあとの追体験としても良いと思います。雪や雪だるまのストーリーというと、雪だるまが動き出したり急にしゃべり始めたりするものが結構あると思いますが、この絵本はとても現実的です。
ファンタジーがダメということではないのですが、日本は特にキャラクター大国なので、気づくと子どもの周りがファンタジーで溢れ過ぎてしまいます。この本は、自分の五感をちゃんと働かせながら現実を知り、身をもって体験していくための手助けとなってくれます。
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