知っておくべき、14のシカケ

子どものイドコロ

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知っておくべき14のシカケ

積水ハウス
河﨑由美子

家族は、一緒に何かをしていなくても、一緒に居るだけで、互いの心理的安全性が高まるものです。広々としたリビングならば、家族それぞれの居場所をつくることができるので、家族が一緒に過ごす時間を自然と増やしてくれます。

01 リビングが広いほど一緒にいる時間が長くなる

幸せ住まいの研究を続けていく中で、家族の集まるリビングは、最も居心地の良い空間であるとともに最も広くするということがとても大切だとわかってきました。広いリビングでは、家族の声が聞こえて、お互いが何をしているのかが見えて、広いからこそそれぞれがやりたいことを気にせずにできます。

日本人は防音性の低い木と紙で造られた家でずっと暮らしてきて、昔から広い空間をついたてや障子で仕切りながら暮らすのがすごく上手です。お互いの気配を感じながら配慮して暮らすという習慣を文化的に持っているので、広い空間を持て余すことなく上手に暮らすことができる特性を持っていると思います。

モンテッソーリ教師
あきえ先生

「家族の声が聞こえて、お互いが何をしているのかが見える空間」は、子どもにとってもとても安心ですよね。見守ってもらったり、一緒に何かをしたり。もちろん広さの上限はありますが、子どもも大人も「ここにいたい」と思える空間にしたいですよね。

02 たった2畳の“余白”が生み出す、より豊かな時間

広いリビングというと、「うちは無理」という声が聞こえてきそうですが、「2畳」広げるだけでも変わります。たった“2畳”と思うかもしれませんが、2畳あることでベビーベッドを置くことができたり、クリスマスツリーを飾ったり、ヨガをしたり、子どもがダンボールハウスをつくってそのまま飾っておくこともできます。この小さな“余白”がリビングでの過ごし方の可能性を広げ、家族の時間をより豊かにしてくれます。

リビング空間が広いほど家族が一緒にいる時間は長くなると実感されています。オーナー様にお話を伺うと「前は夫婦げんかをすると、すぐに別の場所や自分の部屋に行っていたけれど、この家ではけんかをしてもそれぞれがリビングで過ごしうっかり話しかけて、仲直りのきっかけになったりするんです」という話を聞きました。素敵なエピソードです。

このような夫婦間コミュニケーションの増加を数値化するのはなかなか難しいのですが、多くのご家庭に伺ってお話を聞く中で、空間は、夫婦や家族の関係性を変えたり支えたりする力を持っていると確信しています。

モンテッソーリ教師
あきえ先生

子どもだけでなく大人も居心地が良い場所で過ごし、親の心が安定していることは子どもの心にも反映されます。ですから、この“余白”は大人にとってもすごく大切だと思いますね。特に女性の妊娠〜出産期は物が増えることが多く、自分の身体も大きく変わるとき。その変化を肯定してもらえる環境は、こういった余白から生まれますよね。