知っておくべき、14のシカケ

子どものイドコロ

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知っておくべき14のシカケ

積水ハウス
河﨑由美子

片づけることは、乱雑な状態が見えなくなればいい、というだけではありません。次に使うときのために、片づけるのです。使いたいときに、いかにさっと取り出せるかどうかが大切です。次に使いやすいかどうかを考えて、収納していくことは、子どもの実行機能・計画性を高めることであり、「子育ち」の可能性がたくさんつまっています。

01 片づけたくなる気持ちを後押しする「環境」が大切

子ども用品をどこに収納するか、どうやって管理するかは永遠のテーマ。皆さんそれぞれ工夫していると思いますが、私たちは持ち物ごとの住所を決めることと、子どもが自分自身で出し入れしやすい収納にすることを重視しています。

持ち物の住所を決めるとき、動線がとても大切です。たとえば、おもちゃを使う空間とそれをしまう場所をすぐ近くに用意すると遊ぶのと片付けることが一連の作業になります。子どもに合わせた収納とは、棚やハンガーレールの高さを子どもの成長に合わせて変更できる子どもの専用仕様にしておくなど、子どもの手が届く場所や見えやすい場所を意識した収納のことです。そうすることで、子どもが自分でやろうとする気持ちを後押しすることができます。

子どものための収納は、親が勝手に決めるのではなく、子どもと一緒に使ったり遊んだりしたあとに、これをどうやってしまうかを一緒に考えましょう。子どもはすぐに大きくなりますから、その環境が今の発達段階に合っているか、時々チェックして見直すことも、子どもが自ら動く手助けになります。

モンテッソーリ教師
あきえ先生

片付けや収納は、とにかく日々のルーティーンの中で、子どもが当たり前にできるように“仕組み化すること”が大切です。片付けやすくなっていれば自然と自分でやるようになりますし、その体験を積み重ねていくことが主体性を育むことにもつながっていきます。

02 子どもが好きに使って良い、観察する力を育む「見せる」収納

収納には“見せる”と“隠す”の2種類あります。見せる収納にも、子育ち効果があります。たとえば、子どもは、どんぐりや小石など小さなものを拾ってきて集めるのが大好きなので、それを並べておける場所があると、見比べて観察したり、ちょっとした違いに気づいたりして、さまざまな角度から物を見る目を養うことができると思います。最初はキレイに並べることは難しいかもしれないですが、小さくても“自分の見せる収納コーナー”があることで、空間や住まいへの関わり方もそこから学んでいきます。

積水ハウスでは、壁のちょっとしたスペースを活用した「コレクション収納」という“見せる収納”の提案をしています。親からすると、毎日のようにいろいろなものを拾ってきて、扱いに困ってしまうこともあると思いますが、ここだけは好きにさせてあげようという場所にしてほしいです。

“見せる”と“隠す”を自然に学び、好きなものを飾ることができる子どもは、片付けや整理も上手にできるようになります。

モンテッソーリ教師
あきえ先生

石やどんぐりなど小さなものを拾い集めるのは、モンテッソーリ教育で言う敏感期のわかりやすい特徴のひとつです。観察する目を養いながら、最初は同一性、例えば同じドングリがたくさんあるということを知り、次に、それぞれの細かな違いに気づけるようになる。そんな発見を重ねていくためにも物をひとつひとつ整然と並べることができるスペースはとても役に立ちます。