知っておくべき、14のシカケ

子どものイドコロ

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知っておくべき14のシカケ

積水ハウス
由美子

子どもたちは、囲われ感のある小さな空間、秘密基地のような空間が大好きです。廊下の壁や階段の踊り場など家の中にあるちょっとしたスペースこそ、家族間のコミュニケーションのきっかけや、子どもたちの感性と創造性をひらく大切な子育ち空間になり得ます。

01 「描いて表現」を育む自由に描ける壁

普通は壁に落書きされると困りますが、自由にのびのび描いていい壁があれば、“描くこと”がもっと子どもの日常になります。自分の思いや考えを描いて伝える力は、子どもたちにとってとても大切。その力はいずれ、文字を書く、読む力にも繋がる学びの原動力なのです。

自由に描いて、描き残せる壁があることで、家族間で新しいコミュニケーションも生まれます。たとえば夜遅く帰ってきたお父さんが、日中子どもが壁に描いた絵を見てちょっと描き足し、朝起きた子どもがそれに気づいて……というように、会える時間が少なくても家族の存在を感じ、描くことで対話ができます。

家族といえども、きちんと伝えておきたい大切なことは描くことで、より正確に伝わります。家族の絆も描く力も育まれていく体験になると考えています。

モンテッソーリ教師
あきえ先生

子どもは「やってみたい!」の塊です。その気持ちをできるだけ阻まず育んであげることで、さらに探求したり、自ら考えて行動したりするようになっていきます。「ここは描いてもいいよ」という壁があって、そこに大きな絵を自由に描けることは、必要以上に子どもに「ダメ!」と言わずに子どもの好奇心を満たしてあげることができますね。

02 心を整える、階段下の隠れ家空間

階段下は、家の中のデッドスペース。トイレや収納として活用することが多いですが、子どもが小さいうちは子どものための空間として活用してはいかがでしょう。
子どもは狭い空間が大好き。基地や隠れ家のようにこもれるからこそ、自分の世界に入り込んで、ひとりで好きな遊びに熱中することができます。

また、囲われた小さい空間は守られている感覚があり安心するもの。たとえば叱られてひとりになりたいときや、友達とケンカしたとき、階段下の隠れ家空間は、自己反省をして落ち着きを取り戻すための大切な居場所にもなってくれます。

子どもが大きくなったら、想い出の品をしまう収納にチェンジ。小さい頃ここで遊んでいたよね、と空間ごと想い出に残すことができます。

モンテッソーリ教師
あきえ先生

モンテッソーリ教育では、集中することを非常に大切にしています。そして集中を促すためには環境が大切であるとも考えています。守られた空間の中、興味のあることに熱中できる場所があるのは、子どもの力を引き出す理想的な環境です。また、心を整えるためにひとりになれるような、隠れ家的空間が確保されていることも、子どもにとって心理的安全性が高い良い環境だと言えます。