知っておくべき14のシカケ
河﨑由美子
明るくてオープンなダイニングスペース、家族で囲むように調理できるキッチンは、子どもが参加しやすく、新しいことに挑戦する”体験の場”となります。
INDEX
01 家族みんなで調理ができるセパレートキッチン
キッチンには火や水、刃物など、大昔から人間が食事をするために使ってきた道具があります。家の中でありながら、本物に触れられて、とても面白い体験ができる場所です。そのぶん、小さい子どもにとって危ないものもたくさんありますが、上手に扱い方を教えて、食という生きるために必要なことを、家族みんなで一緒にできる場所にしてほしいと思います。
食材の形や感触、火の熱さ、包丁の切れ味など、実際に体感しながら身につける学びは何にも変え難いものです。洗う、ちぎるなど簡単なことから、子どもにも積極的に調理に参加してもらえると良いと思います。
シンクとコンロを別々のカウンターに分けた「セパレートキッチン」で、アイランドカウンターにシンクが設置されたタイプは、家族みんなで使えるキッチンとして近年とても人気です。アイランドを囲んで作業できるので、複数人が一緒にキッチンに立つことができます。作業スペースが広いことで、子どもの「やりたい!」を受け止める余裕が生まれ、分担して進めるチームワークも育めます。突き当たりのない回遊性のある動線は子どものそばにすぐ行くことができ、大人同士でもすれ違いやすいのも魅力です。
あきえ先生
調理をしたり、食事の準備に参加したりすることは、モンテッソーリ教育で大切にしている「本物の体験」のひとつ。子ども自身が参加することで食への興味も湧きますし、調理工程の一部を担うことは「できた」という成功体験に。作業スペースに余裕があれば子どもがキッチンに立つことが日常的になり、自分も生活を運営しているひとりだという自立意識につながります。
02 社会性やコミュニケーション力を育む開かれたダイニング
コミュニケーションの場として、食事を共にするシーンは欠かせません。日本の家はまだまだ閉じた空間であることが多いですが、家族で食事をするだけではなく、いつでも誰でもどうぞ!と言えるダイニングがあれば、家がもっと開かれた空間になり、いろんな人とのコミュニケーションスペースになります。
子どもの友達を日常的に受け入れて、どのように遊んでいるのか見守ることができますし、親も友人を呼んで家族ぐるみで食事をしたり、おじいちゃんおばあちゃんに遊びに来てもらったり……。そんな開かれた環境は、子育ちに大切な社会性やコミュニケーション力を大いに育みます。
積水ハウスでは、窓を開け放てばダイニングと屋外空間が段差なく一続きになるような設計もご提案しています。家を建てる予定がなくても、家族が使うより少し大きめのダイニングテーブルにしてみるとか、家族の人数より1脚でも2脚でも多めに椅子を置いておくのも良いです。友だちがいつ遊びに来ても良い環境を作っておくことで、子どもに対しても、ここは開かれた場、いつもキレイに整えておく場というメッセージになります。
あきえ先生
食事は栄養補給の側面もありますが、同時に人生の楽しみでもあります。乳幼児期は特に、大好きな人と一緒に食べる喜び、味や匂いや食感など五感をフルに使って感じる心地良さ、お腹が満たされる満足感をたっぷり経験することが大切。安心して食事に集中できる居心地の良いダイニング環境は、とても理想的です。
▶こちらの記事で詳しくお話ししています。
子どもが主役のごはんの時間