2024/12/13
知っておくべき14のシカケ
河﨑由美子
庭はあらゆる自然科学の学びの宝庫。空や風の変化はもちろん、植物や食物を育てることや、そこに集まる蝶や昆虫などあらゆる動的な生命活動が子どもたちの世界を広げてくれます。
INDEX
01 緑と触れ合い、「関わり合う」こと
子どもは普段から自然とたくさん触れ合った方が良いというのは皆さんがいつも感じていることだと思いますが、それは大自然でなくても良い、大きな庭でなくても良い、と私たちは考えています。子どものための家づくりを前提に考えた時、ひとつ言えるのは庭やテラスは大きさにかかわらず“子どもが関われるもの”であることが大切、ということです。
まだ子どもが小さな頃は、芝生の感触を楽しむことや水遊びから始め、大きくなってきたら一緒に庭のお手入れをすると良いでしょう。四季によって変化が分かりやすく感じられるものだと、子どもが観察しやすく、庭との関わりを持ちやすくなります。たとえば「もうすぐ梅雨だから紫陽花のつぼみが大きくなってきたね」や「夏も終わりだからヒマワリは枯れちゃったね」などと子どもに語りかけ、自然は変化するものであり、日々育まれている生き物であることを間近に感じられることが、庭がある家を持つことの一番の恩恵です。
あきえ先生
乳幼児期は「とにかく自分の感覚を使いたい!確かめたい!」という“感覚の敏感期”とも言える時期です。そのため、植物や土を触ることはそのパワーを発散させることになり、感覚をますます磨き、洗練させることにもつながっていきます。
02 自分の身体をつくるものを、自らの手で育てあげるという経験
子どもが少し大きくなってくると、見たり観察したりするところから水やりなどができるようになり、関わり方も“育てる”に発展していくと思います。お父さんやお母さんが手入れしているところを見せるだけでも子どもにはとても良い刺激になっていると思いますが、手入れできる年齢になったら、ぜひ収穫して食べられるようなものを育てていただきたいです。もちろん、ベランダなどのプランター栽培でも十分です。
自分で育てるのはもちろん草花でも良いですが、自分で育てたものが口を通して自分の身体をつくるものになる、という経験が日常の中でできることが大切です。スーパーで売っているものとは味も形もぜんぜん違うと知るだけでも違います。
庭づくりをするとき、どんなものを植えるのかを考えるのはもちろん大切ですが、家の中から庭やベランダがどう見えるのかもよく考えてみていただけたらと思っています。家の中にいる時、一階の窓や二階のベランダからはどんなふうに庭が見えるのか、蝶や鳥が飛来するのを見ることができるか。そういった視点を持ちながら庭の在り方を考えつくっていくと、家の中にいても庭や緑に目がいくようになり、成長期の子どもに大切な外遊びのきっかけや、自然科学の目を養うことにもつながっていきます。自然との接点や関わりがおのずと増えるはずです。
あきえ先生
おうちで野菜や植物のお世話を子どもと一緒にする場合、収穫から体験させるというのが実はおすすめです。種を植えて実がなるまで、小さな子どもはなかなか待てないですよね。一度収穫を体験すると結果が分かるので、種から成長していく過程もより楽しみながらお世話ができるようになります。
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