知っておくべき、14のシカケ

子どものココロ

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知っておくべき14のシカケ

モンテッソーリ教師
あきえ先生

「子どもは小さくて何もできないから助けてあげなければ」と思いがちですが、赤ちゃんでもできることはたくさんあります。まずは子どもの自ら成長する力を信じて見守ることが大切です。

01 赤ちゃんの頃からのかかわり方で「自己選択力」が育める

“自主性や主体性がある姿”とは、自分で考えて自分で決めて行動することです。たとえば公園へ行ったときに、遊具を選んで遊ぶことも、お姉ちゃんを追いかけていくことも、お友達の様子を見ていることも、すべて子ども自身が選んでいます。主体性がある=必ずしも常に積極的である必要はなく、自分で決めているかがポイントです。

この主体性や自主性を育むために大人がサポートできることのひとつは、子どもが“自己選択”をする経験を重ねていけるように環境を整え、かかわっていくことです。これらは乳幼児期から取り組むことができます。たとえば、子どもの居場所に年齢発達に合ったおもちゃや絵本をいくつか用意して、子どもが選べるような状況を用意しておきます。すると、自然とその中から選ぶことができます。

発語がまだできない赤ちゃんでも「どっちのオムツをはく?」などと聞いてみましょう。まだ指を指したりできなくても、「こっちをよく見ていたね。こっちにしようか」とその選択を受け入れる、というように。もう少し大きくなれば、自分の部屋に何を飾るか、何をどんなふうに置くかなど、小さな選択を繰り返すことになります。

それに対して「こっちの方が良いんじゃない?」と否定はせず、「こっちが良いんだね。素敵だね」と尊重してあげてください。人生は選択の連続です。赤ちゃんのときから、あなたのことはあなたが決めて良いのよ、という権利を渡して家庭内でそれを繰り返すことで主体性・自主性を育んでいけるのです。

02 「子どもの自ら育つ力」を信じて見守る

子育てにおいて何よりも大事なのは、子どもを尊重して信じることです。子どもの育ちを信じて、ひとりの人間として対等にかかわっていくこと。親になると、この子を立派に育てなければ……という大きな責任を背負った気持ちになるかもしれませんが、私たち大人にできることはそう多くはないのです。

子どもは自ら育つ力をもっています。寝返りや歩き方を教えなくてもいつの間にかできるようになっていくように、いつ何を獲得すべきなのか、子どもは自分のエネルギーに従って自らを発達させていきます。

そこで意識したいポイントは、子どもそれぞれのペースがあるということ。平均値やまわりの子と比べてどうかではなく、“その子のペースとその子らしさ”を無条件で受け入れてほしいのです。それが“見守り”であり、そういった精神的な支えがあるだけで子どもはのびのびと安心して育つことができます。

見守りは、単に褒めるのではなく、子どもが求めたときに適切な声がけや手助けができる準備ができている状態のことでもあります。子どもが何かできたときには嬉しくて褒めたくなりますが、「積み木が積めるなんてすごいね!賢い!」と声をかけることは、ときに親の願望や価値観を押しつけてしまう可能性もあります。褒めるよりも、「〇〇くんが積んだんだ」「たくさん積んで作ったんだね」などと“承認”することを意識してみてください。子どもを見守り、信じる力が、子どもの育ちを後押しするパワーになります。