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2019.12.11vol.5 二世帯住宅は完全分離型がおすすめは本当?
そのメリット・デメリットを徹底解説!

二世帯住宅を検討するなかで、「完全分離型」という言葉を耳にされたことがある人や、「完全分離型」にしようか悩んでいるという人もいらっしゃるのではないでしょうか。

時代も、価値観も、ライフスタイルも異なる親世帯と子世帯が二世帯住宅を考える上で、お互いの暮らしに干渉する場面が少ない完全分離型の方がいいのでは、という考え方もあるようです。

二世帯住宅には完全分離型の他にもタイプがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。 そこで、まず完全分離型の話を中心に、他のタイプの二世帯住宅も含めてそれぞれのメリット・デメリットを解説していきます。二世帯住宅でどんな暮らし方をしたいのかご家族で話し合う際に参考にしていただければと思います。

目次

1. 完全分離型二世帯住宅とは

完全分離型の二世帯住宅とは、親世帯と子世帯が一緒に暮らす二世帯住宅の中でも、それぞれの世帯が暮らす住空間が完全に独立しているタイプの住宅を指します。つまり、個々の居室はもちろん、リビング、水回り、玄関にいたるまですべて別々になっています。

一つ屋根の下で二世帯が住み分けるには、生活スタイルによって間取りの考え方が大きく変わってきます。まずは間取りの考え方について、そのポイントを整理してみましょう。

2. 完全分離型二世帯住宅の間取りの考え方

完全分離型二世帯住宅は、一つの建物をどう区分して住むかによって、横割りスタイルと縦割りスタイルの二つに分けることができます。

2-1. 横割りスタイルの間取り

横割りスタイルとは建物の階によって親世帯と子世帯の居住する空間を区分するものです。

【横割りスタイル】

メリットは、ライフステージに合わせて上下階で住み分けられること。例えば、親世帯が高齢の場合、1階を親世帯の住戸とすることで、階段を上り下りするする負担を大幅に減らすことができます。また、庭を設けて四季折々の自然を身近に楽しむこともできます。さらに、1階なので外に出る際も容易で、万一のケガや病気の場合にも救急車で搬送しやすいなどのメリットがあり、さらに将来的なことも考えてバリアフリーな空間をつくることもできます。

デメリットは、遮音対策を施していない床では上の階の音や振動が下の階に伝わりやすいこと。子どもたちがはしゃぎ回る音や深夜にシャワーを浴びる音など、階下の親世帯に気を遣うことになります。また、完全分離の場合、玄関が2つ必要になります。

2-2. 縦割りスタイルの間取り

縦割りスタイルとは建物を縦に区分して親世帯と子世帯の居住空間を構成するものです。

【縦割りスタイル】

図1

図2

メリットは、お互いの世帯が1階から3階まで使える(図1の場合)という点があり、上下階の音に対する気遣いは軽減されます。また、両方の世帯を均等なスペース割りにすることも、これから家族の増える可能性がある子世帯を広めにする(図2の場合)こともできます。さらに、両世帯とも1階に玄関を設置できるというメリットもあります。

デメリットは、両方の世帯に階段や廊下等が必要となるため、その分、居室が狭くなります。また、ワンフロアの面積は、横割りスタイルよりも狭くなってしまいます。さらに両世帯とも上下階の移動が必要であり、親世帯が高齢の場合には移動が負担になるためエレベーターが必要になるかもしれません。

二世帯住宅そのものは平屋や2階建てで実現することはもちろん可能です。ただし、二世帯で共有する空間がほとんどない完全分離型の場合は、平屋や二階建てで実現するとなると、それだけ大きな敷地が必要になります。

また二世帯住宅を検討する際には、親世帯が既に住んでいる住まいを建て替えるケースや、新たに土地を探して建てるケースなどが考えられます。いずれにせよ便利なエリアであるほど、住宅などが密集しており、まとまった大きさの土地が手に入りにくいことも想定されます。

そういったエリアで完全分離型の二世帯住宅を検討する際には、3階建て・4階建てで計画すると、限りある土地を有効活用できる可能性が広がるため、検討する価値はあるかもしれません。

3. 完全分離型二世帯住宅のメリット・デメリット

完全分離型の二世帯住宅のメリットはなんといってもお互いのプライバシーや生活スタイルを尊重できる点です。水回りが分離されるので、使い方やお手入れ等でお互いに気を遣う必要はありません。また生活時間のズレにより、深夜や早朝にシャワーを使う場合なども、気遣いが軽減されます。お互いにゲストを自由に招きやすいのも、玄関を別にすることによるメリットと言えるでしょう。

さらに、同じ屋根の下に住んでいるので子どもを両親に預かってもらったり、万一、親に何かあった場合でも、すぐに駆けつけられるという点もメリットです。

お誕生日やクリスマスなど、家族のイベントの際には、どちらかのLDKに集まってパーティーを開くなど、まさに「スープの冷めない距離」で、親世帯・子世帯が行き来することができます。

これに対して、いちばんのデメリットは、やはり建築コストが掛かることです。水回りを始め、LDKや玄関など、二世帯分の設備や空間が必要なので、家を二棟建てるのと変わらない費用が掛かることもあります。
また、電気・ガス・水道なども完全分離ですから、住んでからの光熱費も、それぞれに掛かってきます。

4. 完全分離型以外の二世帯住宅について

冒頭でもお話ししたように、二世帯住宅には完全分離型以外にも、住まいのどの部分を共有するかによって2つのタイプがあります。完全共有型と部分共有型です。

それぞれがどんな特徴をもっており、どんなメリット・デメリットを持っているかを一通り知っておくことで、自分なりの二世帯住宅を考える際の参考になり、選択の幅が広がります。

4-1. 完全共有型二世帯住宅のメリット・デメリット

個人の居室を除いて「全て共有する」のが「完全共有型」の二世帯住宅です。

メリットは、キッチンや浴室、洗面室などの設備が一世帯分で済むので、建築費や光熱費を抑えることができる点です。

また、いつも誰かが家にいる状態で子どもやお年寄りの見守りにもつながるので、大家族で交流の時間を増やしたい人にとってメリットを感じることでしょう。

一方で、デメリットはプライベートな時間は基本的に自分の部屋で過ごすことになります。また、生活時間のズレなどがあると、お互いに気を使うことで、窮屈さを感じるかもしれません。

4-2. 部分共有型二世帯住宅のメリット・デメリット

「完全共有型」ではすこし窮屈かなと思われた方にご紹介したいのが「部分共有型」二世帯住宅です。「完全分離型」が、玄関やリビング・ダイニング、水回りなどのすべてを分けるのに対して、玄関のみ共有して他を分けるケースや、水回りの設備・空間を、親世帯・子世帯の理解に応じて共有し、他を分けるケースなどが「部分共有型」に含まれます。

【玄関を共有するケース】

玄関のみ共有して水回りやリビングなどすべて別々にするケースです。

メリットは、お互いの生活スタイルを維持しながら必要に応じて行き来しやすいという点があります。
そしてもう一つ、完全分離型よりもコストは抑えられます。

デメリットは、完全共有型や水回り共有型に比べて、玄関以外が別々なので、それだけ費用は掛かってしまうという点が挙げられます。

【水回りのみ共有するケース】

「水回りのみ共有」といっても、キッチンを共有してお風呂を別にする場合、お風呂を共有してキッチンを別にする場合、キッチンもお風呂も共有する場合などがあります。

水回りは特に生活スタイルが現れる場所なので、親世帯と子世帯ではこだわる部分が異なるかもしれません。その場合、こだわりのある水回りだけ独立させるのも一つの方法です。

メリットは、生活スタイルが出やすい水回りだけ独立させることで、お互いに気を遣わなくていいという点でしょう。

一方で、設備が二つ必要になり、費用が掛かってしまう点や設備のための空間を設けなくてはならない点を嫌う人にとっては、デメリットとなるでしょう。

5. まとめ

完全分離型二世帯住宅には、様々なメリットやデメリットがあることをご紹介してきました。お互いに支え合いながら、プライバシーや生活スタイルなどに配慮した暮らし方には様々な形があり、そこに価値基準の違いがあるからこそ、ある人にはメリットと感じるられることが、ある人にはデメリットと感じられることもあります。大家族になればその価値基準も様々。だからこそ、二世帯住宅でどんな暮らし方を望んでいるのか、ご家族で話し合うことでお互いの理解を深めることが大切なのかもしれません。

積水ハウスは創業以来、これまで累計建築戸数240万戸※を超える住宅を建ててきました。二世帯住宅の建築実績も豊富です。その実績の中から見出した一つの答えは、「家族と家族が集まって住むカタチは人それぞれ、家族の数だけ住まい方もある」というものです。家族のカタチも多様化し、住まいも二世帯住宅という言葉で、ひとくくりにはできなくなってきています。本当に考えるべきことは、自分たちにあった暮らし方を見つけ出すことだと考えます。

そこで、積水ハウスは多世帯という考え方をベースに、「カゾク・ト・カゾク」がつながる“幸せな住まい”をご提案したいと考えています。それは、大切にしたい「暮らしのシーン」と「家族の距離感」をもとに、家族のカタチにあわせた、住まい方のカタチを見つけようというものです。

「多世帯の暮らし カゾク・ト・カゾク」のご紹介ページはこちらへ

プライバシーやライフスタイルが重視されるいまの時代だから完全分離がオススメというのではなく、二世帯に限らず多世帯が集まって、寄り添って、楽しく暮らすための住まいを実現することこそ大切だと考えます。そのために、自分と家族の暮らしを改めて、見つめ直すことが、自分らしい心地いい二世帯住宅を実現するスタートなのかもしれません。

※累積建築戸数:2,448,050戸(2019年7月31日現在)