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担当者に聞いてみた!
「鉄骨と木造、どっちが強い?」(前篇)

2024.11.14

一戸建ての住宅は、長く住む中で間取りを変えたり、その気になれば外壁を変えたりと、自由にカスタムしながらライフスタイルに合った住み方が可能です。

ですが、構造だけは後から変えることができません。鉄骨でつくるか、木造で建てるか。

どちらも手掛ける積水ハウスは、悩まれるお客様から「実際のところ、どっちが強いの?」「どっちがいいの?」と聞かれることもあります。そこで、どちらも販売される現場の営業担当者(中の人)に聞いてみました。「鉄骨と木造、どっちが強い?」

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イメージは「鉄 > 木造」?

──── 今日はよろしくお願いします。
さっそくですが、国土交通省の建築着工統計調査報告によりますと、日本の新築戸建て住宅は約9割が木造で建てられています。圧倒的に木造が多いですが、積水ハウスは木造も鉄骨も両方ありますよね?

中の人: そうですね。正確にいいますと、木造と、重量鉄骨と軽量鉄骨の3種類あります。重量鉄骨は主に3階建て、軽量鉄骨は平屋、2階建ての家に用いられます。

──── いきなりですが、鉄骨と木造、どっちが強いんですか?

中の人: 一般的なイメージって、おそらく鉄骨ですよね?鉄の方が重みに耐えて頑丈そう、っていう。だから、耐震性という意味では鉄骨の方が強そうと思われる方が多いんじゃないでしょうか。

──── そう思います。

中の人: イメージとしてはそうかもしれないんですが、じゃあ、日本最古の木造建築・法隆寺が建てられたのが607年。1400年前です。この間に何度大きな震災があったでしょう?木造が「弱い建築方法」だとすると、奈良や京都の寺院も、ここまで維持できないはずですよね?

──── た、確かに‥‥!

中の人: 単純に「鉄と木のどっちが強度があるか?」と聞かれればそれは鉄かもしれませんが、建物の構造となると、それは構法によるんですね。積水ハウスのシャーウッドは、自然素材である木を安定的かつ強度を保ったまま扱えるように研究を重ねた、100年もつ構造材で建てています。

──── なるほど。木造だから弱いってことにはならないんですね。

中の人: なので、積水ハウスは鉄骨と「シャーウッドだから」どっちも強い、という回答になります。

木の弱点を徹底的に補う、シャーウッド構法

中の人: 具体的には、一般製材の2倍の破壊荷重が実証された梁や、揺れのダメージを受けやすい梁と柱の接合部を専用設計で接合した「MJ接合システム」などによって、強い揺れで変形しても壊れない強さを木造住宅にも持たせることができています。

シャーウッドプレミアム構造材(左)は、一般製材(ベイマツ・右)が破壊した29kN(2.97tf)の荷重に耐え、さらに加力を続けたところ、約2倍の荷重である59kN(6.02tf)に至った時点で破壊。
※ 試験体は共に断面120mm×240mm・スパン4,320mm

中の人: でもその前に、積水ハウスは基礎が他社とはぜんぜん違うんですよ。

──── 基礎?

中の人: ええ。例えば柱や外壁などは工場で一貫生産して現場に運んで建てていきますが、基礎というのは現場でゼロからつくるものなんですね。基礎の端と端で1%でも高さにズレが出ると家は傾いてしまうんですが、そういうことが起きないように、それぞれ環境の異なる現場ごとに高い精度で組み上げていきます。

一邸ごとに異なる地盤の調査を行い、mm単位の高精度で基礎を設置します。

中の人: その水平を出すために、通常は「土台」を調整材として組んでいくのです。ただ、この工法だと、強い地震によって土台から柱が抜けてしまうことがあるんです。

──── え?じゃあ、土台って無い方がいいんですか?

中の人: 私たちはそこから見直しました。土台をなくして柱と基礎を直結させたのが、積水ハウスならではの「基礎ダイレクトジョイント」です。これは鉄骨も木造も共通の工法で、地震のエネルギーを柱から基礎へ直接伝えちゃうんですね。そうすることでスムーズに揺れを地中に逃がせるんです。

木造だと「常識外れ」なアプローチかもしれませんが、ビルに土台が無いのと一緒で、鉄骨造から始まった積水ハウスだからこその施工かもしれませんね。

土台を介して柱と基礎を接合すると、力の伝わる効率が下がります。
躯体と基礎をダイレクトに緊結しているので、地震のエネルギーを基礎へスムーズに伝えられます。

──── 鉄骨でも木造でも強いのは、基礎からつくりが違うからってことですね。

中の人: おっしゃる通りです。この土台レスな工法が全国どこでも確かな施工精度でできるのが積水ハウスの強みです。あとは‥‥

──── 何でしょうか?

中の人: ちょっと専門的な話になってしまうんですが、「仕様規定」と「性能規定」というものがありまして。

後篇につづく