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こんな手法もある土地有効活用 その1 特定の事業用資産の買換え特例を活用した対策

税理士法人 ファミリィ 代表社員・税理士 山本和義

特例を適用した場合の譲渡所得の金額の計算方法

この特例の適用を受けた場合の譲渡所得の金額は、原則として次の算式によって計算します。

※課税の繰延べ割合は80%とします。

1.譲渡資産の譲渡価額≦買換資産の取得価額の場合

譲渡資産の譲渡価額x20% = 収入金額
(譲渡資産の取得費+譲渡費用)x20% = 必要経費
収入金額必要経費課税される譲渡所得の金額

2.譲渡資産の譲渡価額>買換資産の取得価額の場合

譲渡資産の譲渡価額-買取資産の取得価額x80% = 収入金額
(譲渡資産の取得費+譲渡費用)x(収入金額÷譲渡資産の譲渡価額)= 必要経費
収入金額必要経費課税される譲渡所得の金額

取得費の計算方法

事業用資産の買換えの特例を受ける場合には、その買換資産の取得価額は、譲渡した資産の取得費を基にして計算します。
したがって、買換資産が建物や機械装置である場合のその減価償却費は、買換資産を実際に購入した価額などではなく譲渡した資産から引き継いだ取得価額を基として計算することになります。

※課税の繰延べ割合は80%とします。

例1.譲渡資産の譲渡価額≦買換資産の取得価額の場合

譲渡資産の譲渡額 5,000万円
譲渡資産の取得費 300万円(土地及び減価償却後の建物価格の合計)
買換資産の取得価額 6,000万円(土地4,200万円、建物1,800万円)
引き継ぐ
取得価額の計算
300万円x(100%-20%)=240万円
6,000万円-5,000万円=1,000万円
5,000万円x20%=1,000万円
合計 2,240万円
引き継ぐ取得
価額の土地と建物
への配分計算
土地:2,240万円x4,200万円/6,000万円=1,568万円
建物:2,240万円x1,800万円/6,000万円=672万円

例2.譲渡資産の譲渡価額>買換資産の取得価額の場合

譲渡資産の譲渡額 5,000万円
譲渡資産の取得費 300万円(土地及び減価償却後の建物価格の合計)
買換資産の取得価額 4,000万円(土地2,500万円、建物1,500万円)
引き継ぐ
取得価額の計算
300万円x(4,000万円÷5,000万円)=240万円
240万円x(100%-20%)=192万円
4,000万円x20%=800万円
合計 992万円
引き継ぐ取得
価額の土地と建物
への配分計算
土地:992万円x2,500万円/4,000万円=620万円
建物:992万円x1,500万円/4,000万円=372万円

※本サイトに掲載の内容は、令和6年6月現在の法令に基づき作成しております。

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