以下に国税庁から公表されている物納の現状等についてその概要を解説します。

平成元年から令和3年までの物納申請件数は112,564件、許可件数は79,393件、取下げ等は32,924件、却下は727件となっています。申請件数に対する許可件数の割合は、70.5％となっています。物納許可割合が70％以上であることから、物納が認められにくいとは思えません。ただ、土地の物納においては、物納手続に多くの労力と相当な時間を要することは否めません。

相続税の延納処理状況等					年 度	相続税の物納処理状況等
申請件数	申請金額 (億円)	処理(件数)				申請件数	申請金額 (億円)	処理(件数)
		許可	取下げ等	却下				許可	取下げ等	却下
24,179	11,097	25,443	6,497	222	元	515	977	97	238	3
37,073	18,977	29,824	2,134	198	2	1,238	1,333	459	287	1
47,360	24,214	42,206	2,564	213	3	3,871	5,876	532	534	7
35,936	12,197	33,983	2,277	308	4	12,778	15,645	2,113	1,131	9
33,395	12,256	34,511	2,016	191	5	10,446	11,081	6,684	3,642	3
26,805	9,783	28,356	1,638	237	6	(内)7,268 16,066	(内)7,545 14,823	8,749	3,788	28
19,694	6,587	20,622	1,409	263	7	8,488	6,610	9,185	2,905	22
15,629	5,361	15,544	1,315	220	8	6,841	4,654	6,240	2,723	34
13,170	4,220	12,539	1,050	198	9	6,258	4,340	4,973	2,118	29
11,534	3,286	10,871	861	204	10	7,076	4,606	4,546	1,832	20
11,166	3,206	10,287	841	197	11	7,075	4,300	4,713	2,044	28
11,258	3,321	10,414	792	193	12	6,100	3,510	4,556	1,939	37
9,734	2,919	9,533	756	130	13	5,753	3,261	4,844	1,698	27
9,023	2,555	8,563	583	108	14	5,708	3,325	4,479	1,690	31
8,333	2,404	8,196	477	93	15	4,775	2,321	4,545	1,687	28
7,026	2,020	6,851	542	64	16	3,065	1,288	3,639	1,651	24
5,763	1,553	5,626	477	63	17	1,733	817	2,730	1,169	21
4,705	1,438	4,742	358	76	18	1,036	472	2,094	861	16
3,222	1,193	2,926	380	84	19	383	235	1,114	234	22
3,030	1,053	2,511	443	75	20	698	564	704	149	27
2,737	973	2,221	410	97	21	727	654	711	149	54
2,195	724	1,941	397	83	22	448	302	503	103	46
1,811	603	1,369	347	28	23	364	310	317	98	27
1,450	442	1,282	343	30	24	209	87	205	55	45
1,304	442	1,011	325	37	25	167	79	132	38	29
1,144	470	887	253	29	26	120	286	88	25	18
1,376	439	959	303	28	27	130	69	69	30	12
1,423	524	1,060	306	26	28	140	325	114	25	36
1,344	483	1,008	322	43	29	68	26	47	27	13
1,289	579	890	320	47	30	99	324	47	16	12
1,122	459	757	324	51	元	61	186	72	12	2
849	311	718	239	17	2	65	84	53	14	6
1,095	490	783	237	20	3	63	75	39	12	10

※平成6年度の物納申請件数及び申請金額の内書きは特例物納の計数です。

租税は、金銭での納付が原則ですが、相続税については、遺産取得課税という性格上、金銭納付の例外として、一定の相続財産による物納が認められています。物納の許可を受けるためには、次に掲げるすべての要件を満たしていなければなりません。

＜物納の要件＞

	延納によっても金銭で納付することが困難な金額の範囲内であること
	申請財産が定められた種類の財産で申請順位によっていること
	申請書及び物納手続関係書類を期限までに提出すること
	物納適格財産であること

＜物納申請財産の選定要件＞

	物納申請者が相続により取得した財産で日本国内にあること
	管理処分不適格財産でないこと
	物納申請財産の種類及び順位に従っていること
	物納劣後財産に該当する場合は、他に適当な財産がないこと
	物納に充てる財産の価額は、原則として、物納申請税額を超えないこと

※本サイトに掲載の内容は、令和5年6月現在の法令に基づき作成しております。