ナーサリールーム ベリーベアー深川冬木

ひらかれた憩いの場をつくり、地域の交流を橋渡しする、まちをつなぐ保育園

計画地は、まちを分断するように走る首都高速に隣接しています。
木が鬱蒼と茂り閉ざされていた空間を再びまちにひらき、地域に親しまれる園とするため、敷地内に多様なまちとの関係が生まれるように計画しました。

東西に長い敷地には、北側の公園と南側の遊歩道をつなぐ「通路」が横断しています。
「通路」を挟んで東側に遊戯室と園庭、西側に園舎棟を配置。
「通路」にはエントランスを集約し、植栽やベンチを設えることで、まちと園が交わる公園として整備。
緑豊かな外構により、地域の人々にも自然を楽しんでもらえる計画です。
独立した遊戯室と園庭は、地域の行事に活用することもでき、まちのインフラとしても機能しています。

土地に根ざした大ケヤキを建物の内外にいかし森にいるような園舎をデザイン

かつて大きなケヤキの木が存在感を放っていた土地の記憶を受け継ぎ、子どもたちの育ちへとつなげる、「ケヤキを囲む園舎」を計画しました。
7本の大木を伐らずに残してどこにいてもケヤキを感じられる空間に。
園舎全体も森の中をイメージしてデザイン。外の自然とつながる窓の配置や、森にいるようなインテリアデザイン、木をふんだんに使った床や壁。
さまざまな木とともに暮らし、ふれ合う、豊かな木育の場を目指しました。

一日の中で変化のある生活体験ができるよう多様なパブリックエリアを計画

1階と2階を結ぶのは舞台のような大階段。
高さによって見えるものが変わるわくわくする遊び場は、虹色の天井に彩られた吹き抜けを通して2階のランチルームへとつながります。
調理室がのぞけたり、菜園を備えた屋上を配置するなど、食育の場がつながるよう計画しました。

園舎棟と遊戯室との間を南北に横断する通路。緑豊かな外構やベンチを設え、周辺住民も使える公園として整備し、園と地域が交わる場としました。

道路に面する北側外観は赤レンガのシックな雰囲気。植栽によって歩道との間に距離を設け、四季折々の変化が楽しめる緑道に。

波打つ水面に丸太が浮かぶ、かつての木場の風景につながる園庭のデザイン。子どもたちの想像力を刺激する仕掛けを盛り込みました。植栽には実がなったり葉の形がユニークなものなど、遊びや気づきのヒントとなるような種類をセレクトしています。

秘密基地になるツリーハウス。ケヤキとふれ合いながら立体的に遊びの場が広がります。

玄関には大きなケヤキのある光庭を配置。窓の周りには分厚い杉板を貼り、木々が並ぶ中にケヤキが立つ様を表現。

1階北側の廊下。距離の長い廊下も森をイメージしたデザインにより、わくわくする空間に。

1階廊下にある、森の中の湖を連想させるブルーのコーナー。床を一段低くした空間は、絵本の読み聞かせにも向きます。

0歳児室。午睡スペースは壁・天井ともに杉板張りとし、大きな木の中にいるような安心感を。

ケヤキを囲むように計画されたL字型の1歳児室。0~2歳児専用の園庭に向けた大きな窓から、光と風が通る心地良い空間です。

ケヤキをウッドデッキで囲み、1歳児室とつなげた中庭空間。風に揺れる葉音や木漏れ日を感じ、大きな幹に触れながら自由に遊ぶことができます。

大階段。緑のグラデーションのかかったモザイクタイルは、生い繁る葉とそこから射し込む木漏れ日を表現しています。ツリーハウスをイメージした踊り場は少し高くなった特別なイドコロです。

開放感のある2階ランチルーム。大階段のタイルの木に虹がかかるイメージを表現した天井の彩りが、子どもたちを明るく見守ります。

ランチルームからつながる屋上は、玄関ホールのケヤキの枝が近くに見える広々とした空間。大きなプランターでは、土に触れ、植物や野菜を自分で育てる体験ができます。子どもの目の高さで眺められるので、苗から育ち、実をつけていく様子をしっかり観察できる食育ガーデンになります。

2階北側の廊下。子どもの好奇心をくすぐる杉の無垢材でつくられた「小屋」が、保育室をつなぐ長い廊下を遊び場に変えます。安心感のあるイドコロに。

4歳児室。ケヤキのある中庭と吹き抜けの上部に設けた窓で明るく開放的な空間。

5歳児室。2~5歳児の保育室は、腰壁にシナ合板、床はオークの無垢フローリングの落ちついた木質空間。園児のロッカーにはの杉の間伐材を活用しています。

アトリエ・音楽室は紫色のリノリウム床で他の部屋とは異なる雰囲気に。奥まった空間で集中した時間が過ごせます。

別棟で計画した遊戯室は、耐火木造の大空間。木の力強さやダイナミックさを表現しました。床には無垢材を使い、心地よい足触りで元気いっぱいの運動をサポート。壁はシナベニヤの有孔板で仕上げ、吸音や衝撃に配慮しました。

北側の夕景。室内の照明は温かみのある電球色を使用し、まちを穏やかに照らします。塀ではなく植栽で街路との境界をつくることで、窓からは子どもたちの気配が感じられます。

施設情報

タイプ 保育所
定員

200名

敷地面積 4,456.93㎡
延床面積 2302.87㎡

その他の建築実例