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代表取締役社長 和田勇 未来への責任を果たすために
積水ハウスは以下のことを約束します。
温暖化防止への社会的責任を果たすため、居住段階のCO2排出量削減に向け、「アクションプラン20」を推進し、太陽光発電システム、高効率給湯器、断熱リフォーム等の採用を拡大します。
達成した「新築現場ゼロエミッション」について、資源循環の観点から廃棄物発生量自体の削減を進めます。
「まちづくり憲章」に基づき、住み継がれる、豊かなコミュニティを育むまちを全国で普及させ、「まちなみ参観日」の分譲事業での「環境共生住宅」認定取得と「5本の樹」に基づく植栽を積極的に進めます。
住宅に使用する木材について、再生可能資源の利用促進の観点から、会社として「木材調達指針」の策定を進めます。
体験型施設等を活用し、住まい手の防災・防犯・ユニバーサルデザイン・健康・環境等の意識を高め、住まいと暮らし文化の向上を図ります。
女性の活躍を一層支援するなど、多様な人材の育成と次世代の育成を積極的に支援します。
「未来への責任」を果たすこととは
 2005年末から耐震偽装問題など建築の信頼性を損なうような事件が相次いで発覚しました。同じ業界に身を置く人間として、大変残念な思いです。
 住宅事業は寿命の長い製品で、お客様の一生に関わるビジネスです。最も重要なことは、つねに「長期の視点でお客様のために何ができるか」に思いをめぐらせることです。私は、最近社内で「経年美化」というキーワードを訴えています。お客様にお引き渡しした後も適切な手入れを施すことで、住まいへの愛着はますます大きくなります。また、将来を考えて植栽された庭や街並みは時の経過とともに樹々が育ち、住まいに風格を与えます。住宅は引き渡したときが最高で、後は劣化するだけという製品であってはなりません。
 当社が、カスタマーズセンターや関連会社のグリーンテクノ、積水ハウスリフォームや積和不動産グループなどとともにあらゆるサポート体制を充実しているのも、お客様に永く愛着を持って住み継いでいただくための責任の一環と位置付けています。
 長期的な視点でつくられた住まいや街は、住まいの資産価値と成熟する街並みの評価を高め、さらに豊かなコミュニティをつくり健やかな子どもたちを育みます。私たちはそんな「経年美化」する住まいや街を提案できるように責任を持って事業を進めていきます。今年はその考えを「まちづくり憲章」にまとめ、今後、全国の街づくりで展開していきます。また、当社独自の、里山をお手本にした庭づくり「5本の樹」計画も一層推進し、お客様と一緒に地域、そして日本の生態系保全に貢献します。
お客様とともに地球温暖化防止に取り組む
 2005年4月には、持続可能な社会実現への決意を「サステナブル宣言」として発表しました。環境価値、経済価値、社会価値のトリプルボトムラインに、当社が重視する「住まい手価値」を加えた「4つの価値」のバランスある発展を事業活動の基軸とするものです。
 環境への取り組みにおいては、住宅のリーディングカンパニーとして、未来への責任をきちんと果たします。その柱のひとつが「アクションプラン20」です。これは、京都議定書遵守の自主目標を宣言し、2010年の住宅の居住時のCO2排出量を予測値から20%削減しようというものです。
 住宅は建設から廃棄までのCO2排出負荷において、居住時が約7割を占めるため、日々の暮らしの中でどれだけ使用エネルギーを抑えることができるかが鍵となります。これについてはお客様のご協力なくして実現することは困難です。当社では、新築住宅では業界トップレベルの省エネ性能を提供していますが、既築住宅70万戸のお客様のお住まいでいかに省エネレベルを向上させるかにも取り組んでいます。供給戸数が多い分、社会へのインパクトも大きいのです。
 新築住宅での省エネルギー性能を高めるに当たって少しでもお客様の協力が得られやすいように、高効率給湯器は価格据え置きで、太陽光発電システムも当社が価格の一部を負担する決断を行いました。その結果、太陽光発電システムの採用実績は月次ベースで、前年の4倍と順調な伸びを見せています。
女性の活躍は社会を変える原動力
 優れた人材の育成も持続可能な社会と企業をめざすには重要な要素です。わが国では、少子化対策が緊急課題となっていますが、それには、女性が子どもを産んでも働きやすい、また復帰しやすい環境をつくっていくことが一番の対策です。
 当社では、多様な従業員が働きやすいよう育児支援制度を充実したり、女性管理職の登用を拡大する「人材サステナビリティ」を宣言しました。2005年に立ち上げたリフォーム会社では、営業社員の中心は子育ての手が離れた30代後半から40代の女性たち。日頃、家庭を切り盛りしている彼女たちは大変優秀なアドバイザーとして活躍しています。
 住宅の営業についても、今後3年間で採用予定の約2,000人の営業職のうち、600人程度を女性にしようと計画しています。お客様との打ち合わせが夜になったりするなど、執務環境を改善すべき課題もありますが、専任サポートチームを設けて支援体制の整備を進めていきます。
 また、「住まい」が少子化問題の解決に対して果たせる役割は決して小さくありません。私は三世代同居や多世代共生の街の良いところを見直すべきだと提言しています。高齢者が安心して街に出られ、社会的な役割を担い、子育ての喜びや苦労も家族や地域で分かちあえ、子育て女性の負担も軽減できる。住まいや街づくりにはそれを可能にする工夫ができるはずです。
 最近、国家の品格を扱った本が話題になっていますが、CSR(企業の社会的責任)というのは、企業の品格を高めるためのものにほかならないと考えています。企業とは、さまざまなしくみや制度だけで前進するものではなく、従業員がお客様や株主の皆様、お取引先といった方々、地域や社会、さらには自然に対する「思いやり」の気持ちを持って活動できるようになって初めて本当に成長するのではないでしょうか。
 私自身が委員長をつとめ、社外の3人の有識者を含むCSR委員会をスタートして1年が経ちました。おかげで従業員の意識も変わり、取り組みも加速してきたと感じています。しかしそれぞれの対話のレベルが十分であるとはまだ言えません。幹部が率先して現場におもむき、つねに対話をする、全社でそういう習慣をつけたいと思います。お客様との対話を重視するのはもちろんのこと、ずっと以前から当社の住宅にお住まいいただいているお客様と変わらず対話をつづけることも大切です。さらに第一線で日々奮闘している従業員、施工に携わる職方さんたち、そして地域の皆様とも、もっと対話を深めていきたいと考えています。
 本報告書では、サステナブル社会に向けた当社の考え方と2005年度の取り組みを紹介しています。今後も持続可能な企業として業界をリードしていくため、皆様からのご意見をいただければ幸いです。
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