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第三者意見報告書
第三者意見報告書接続可能性分析の結果開示プロセスに対する検証
国際NGOナチュラル・ステップ インターナショナル日本支部 代表 高見幸子
ナチュラル・ステップ(以下、TNS)は、積水ハウスと独立の立場で、積水ハウスのステークホルダーとは公平な立場でこの分析を行った。我々は積水ハウスとステークホルダーとの会合のうち、下記記載の手つづきの範囲でこれに参加し、そこで得た情報と関連した主張に基づき、その範囲で分析と評価を実施している。これは、積水ハウスの経営幹部と積水ハウスのステークホルダーの両方にあてた報告書である。
結論
この報告書には、積水ハウスの環境と社会的側面におけるパフォーマンスとチャレンジとコミットメントの的確な要約が記載されており、積水ハウスの重要な課題について必要と思われる情報が記載されていることを評価する。積水ハウスは、この報告書の中で、ステークホルダーが関心を持ち懸念していることに対して妥当に応答していると判断する。
分析のために実施した手続
積水ハウスの重要な課題、およびこれへの対応の是非の分析は下記の手法によった。

1. TNSの持続可能性分析手法と分析の基準について
我々は、TNSの持続可能性分析方法を用いた。これにより企業の環境と社会面における可能性と弱点、そしてグローバルな問題や現在の企業の能力が組織に及ぼすインパクトを明確にする。この分析方法は、持続可能になっている将来の成功した姿から現在の取り組みを見るという「バックキャスティング手法」を使い、分析の基準はTNSの「持続可能な社会の原則(4つのシステム条件)※1」である。

2. 分析のプロセス
企業にとって重要な資源のフロー、プロセス、製品とサービスの使用段階のインパクトを見る。また、企業が変革に対して柔軟性があるのか、能力をつけているか、戦略、ビジョンと方針、目標と成果がつながっているかなどを分析する。
積水ハウスのステークホルダーは、株主以外に、サプライヤー、生産工場と本社の従業員、顧客、地域住民、行政、次世代であると考えている。
我々は、アカウンタビリティ研究所のAA1000基本原則※2(重要性、完全性、対応性)の視点を取り入れ、報告書に記載された情報の検証を行った。
次の質問の解答を得るために、積水ハウスのサステナビリティレポート2005年度版と2006年度版のドラフトを分析し、社長インタビュー、ステークホルダーミーティング・公開シンポジウムに参席、納得工房とサステナブル実験棟であるアネックス・ラボの見学を行ったほか、TNSの持続可能性分析をするために、TNSの質問状の回答を得るとともにヒアリングを実施した。
※1 TNSのバックキャスティング手法、システム条件については、次のホームページで公開
   http://www.tnsij.org/index.html
※2 AA1000に関する詳細は、次のホームページで公開
   http://www.accountability.org.uk/
結果
1. 積水ハウスの定義するステークホルダーは誰か?
積水ハウスは、株主のほかに、顧客が最も重要なステークホルダーと考えている。顧客においては過去に販売した顧客や賃貸住宅の入居者も含めている。さらには顧客周辺の近隣住民をも範囲に含め、また従業員のほか、品質と顧客満足に直接関わる工事職人などもステークホルダーとしている。積水ハウスが、「次世代」も重要なステークホルダーとして明示していることは高く評価できる。
2. 報告書には、ステークホルダーが要求するすべての重要課題と対策についての
情報が記載されているか?

本報告書には、積水ハウスが定義したステークホルダーが必要とする重要課題と情報が記載されている。ただし、サプライヤーの状況についての情報が少ないため、今後は、これについてさらに重視した対応と情報開示が望まれる。
3. 報告書には、重要な課題についての必要な情報がすべて記載されているか?
積水ハウスは、重要なインパクトが何か理解をしているか?

積水ハウスは、重要な課題が何かを理解していると判断される。彼らの重要な課題は、住宅の長寿命化、エネルギー問題、資源の効率的な利用、持続不可能な物質や資材の代替化と社会的なインパクトである。彼らは、それらのインパクトを理解して、対策のための指標とマネジメントシステムを構築してすべて情報公開をしている。
4. この報告書の中で、積水ハウスは、ステークホルダーの関心事、懸念事項に対して
妥当に応答し、意思疎通しているか?

積水ハウスは、妥当に応答をし、意思疎通をしていると判断される。積水ハウスは、TNSのシステム条件1から3を満たすことを環境の最終目標として取り組んでいる。それは、非常に高い目標ゆえに直ちに達成することは困難であるが、その方向性は、資源問題の根源で対応をすることとなり、ステークホルダーへの対応が効率よくでき、また新たな問題が起きることを防ぐ利点がある。しかし、現時点で何が最も難題なのかの意思疎通も必要である。
パフォーマンスはどうか?
2005年度の環境パフォーマンスに関しては、重要な課題に対する対策の成果を継続的に上げてきている。エネルギー分野では、12目標のうち7目標を達成、化学物質は、2目標のうち1目標を達成、資源分野では13目標のうち7目標を達成した。社会性についても、2005年度はパフォーマンス評価可能なフレームワークが開示された。
次のステップに進むために検討すべき課題は?
積水ハウスのステークホルダーの定義を広くし、資材のサプライヤーとさらに広く地域社会全体を含めることが大切である。
再生可能なエネルギー源の導入と持続不可能な物質と資材を代替化することは大きなチャレンジであり、太陽光発電の引きつづいての浸透や燃料電池、バイオマスについてのさらなる普及策の研究と開発が必要である。
社会的側面においては、対策の優先順位と達成目標値をさらに明確にする必要がある
積水ハウスのチャレンジは?
現在の積水ハウスの最も重要なチャレンジはトップの高い意識やビジョンが全従業員までどう伝わり、実務レベルへの落とし込みが確実に進められるかであると考える。全従業員が「サステナブル宣言」の意味を、理解できるようにすることが今後の重要な課題と考える。
積水ハウスは、住み継がれるまちをめざしているが、このように、広い視野で社会的持続可能性に注目することが今後はますます必要となる。すなわち、住宅、街をデザインするとき、直接の顧客だけにとどまらず、その地域社会の人々の健康と生活の質の豊かさに与えるインパクトも考慮しなければならない。これらの視点が、もっと顕著に表明される必要がある。積水ハウスのチャレンジに期待する。

(2006年3月)
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