念願の自宅サロンを開くために
Iさまが約10年前に建てたのは、1階に美容室を併設した住まい。美容室のオーナーは奥さまで、マンツーマンできめ細かなサービスをする隠れ家サロンとして、地元の常連さんたちの憩いの場となっている。
「妻には、美容師としてずっと活躍してほしいと思っていました」と振り返る旦那さま。結婚して2人目のお子さまが生まれたころ、理想的な土地を見つけ、ご自宅兼奥さまの美容室を建てることを決意したという。敷地面積は約30坪とコンパクト。美容室併設となるとかなりの工夫が求められそうだが、不安は一切なかった。自身が住宅関連の仕事をしていて、数々の家づくりを経験していたためだ。
空間の質を最大限に高める
「私は“量より質”派。大きくて豪華な家を建てるより、小さくても空間の質を最大限に高めることに魅力を感じるんです」と話す旦那さま。間取りや内装デザインをどうするか、最初から明確なイメージを抱いていたという。一方の奥さまは旦那さまの経験とセンスを信頼し、「全部任せるから頑張って」とエールを送った。
美容室をマンツーマンの施術にちょうど良い広さにして、1階の残りは主寝室と子ども室に。一方で2階はひとつながりのLDKとし、開放的な空間とした。
収納についても熟考し、必要な場所に必要なものをしまえるようにした。延床面積91㎡に、家族4人がゆったりと暮らせるアイデアを散りばめた。
家づくりの真髄は、人生を豊かにすること
完成から約10年の歳月が流れたIさま邸。幼かったお子さまたちも高校生と小学生になり、自分の部屋を持つようになったり、荷物が増えたり……。Iさま夫妻は、「暮らし方は変わり続けましたが、この家は常に寄り添ってくれました」と振り返る。
「住宅関連の仕事をしていると、私の仕事は住む人の人生を豊かにすることだと感じるんです。営業の腕の見せどころは、どこまで親身になってお客さまのことを考え抜けるかですね」と仕事観を語る旦那さま。この家は、Iさまがご家族の未来を考え抜いて贈ったギフトであり、2人のプロフェッショナルがますます活躍するための舞台でもある。