安藤サクラ

夫は時々立ち止まり、
そして、山頂をじっと見つめる。

進む道が正しいのか
いま一度、自らに問い直す。

それは彼にとってはとても自然なことで、
いつも足元ばかり見て山を登る私は
時々、彼の背中に頭をぶつけてしまう。

そしてその度に
夫はあの人懐っこい顔で嬉しそうに笑う。

私たちはこうしてよく山に登る。
登山は夫婦共通の趣味で、
休みの度に気になっていた山々をめぐる。

ふたりの趣味は登山だけではない。

私たちの家のガレージには
登山道具の他にもサーフボードやバイクがどれも2組ずつ並び、
次の休みには何をしようかと、その道具たちを眺めながら過ごす。

人から見れば、穏やかな暮らしに見えるかもしれないが、
これも夫が選び直した道のひとつだ。

20代の頃、彼は東京で働くサラリーマンだった。
険しい道を必死に駆け上がろうとするひとりの青年だった。

しかしある日、彼は立ち止まり、
そして道を選び直すことにした。

「山頂に至る道はひとつではないしね」

私は、そんな当たり前のことを、
気付くとつい忘れてしまっている。
きちんと立ち止まる夫の背中に、私はよく頭をぶつけてしまう。

そしてその度に
夫はあの人懐っこい顔で嬉しそうに笑う。

進む道が正しいのか
いま一度、自らに問い直す。

それは彼にとってはとても自然なことで、
いつも足元ばかり見て山を登る私は
時々、彼の背中に頭をぶつけてしまう。

そしてその度に
夫はあの人懐っこい顔で嬉しそうに笑う。

私たちはこうしてよく山に登る。
登山は夫婦共通の趣味で、
休みの度に気になっていた山々をめぐる。

ふたりの趣味は登山だけではない。

私たちの家のガレージには
登山道具の他にもサーフボードやバイクがどれも2組ずつ並び、
次の休みには何をしようかと、その道具たちを眺めながら過ごす。

人から見れば、穏やかな暮らしに見えるかもしれないが、
これも夫が選び直した道のひとつだ。

20代の頃、彼は東京で働くサラリーマンだった。
険しい道を必死に駆け上がろうとするひとりの青年だった。

しかしある日、彼は立ち止まり、
そして道を選び直すことにした。

「山頂に至る道はひとつではないしね」

私は、そんな当たり前のことを、
気付くとつい忘れてしまっている。
きちんと立ち止まる夫の背中に、私はよく頭をぶつけてしまう。

そしてその度に
夫はあの人懐っこい顔で嬉しそうに笑う。

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