環境報告書2003
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ECO WORKS 2003
人間性豊かな住まいと社会の創造に向けて
住宅の長寿命化をめざした良質な家づくり
代表取締役社長 和田 勇
代表取締役社長 和田 勇
 日本の住宅の平均建替えサイクルはだいたい26年と言われていますが、私たちは、これを50年、60年と長寿命化していかなければいけないと考えています。「良質のものを残す」という発想です。長く住むことを前提にして、いいものをつくらなければなりません。
 昔は何百年、あるいは何代もつづいた家がたくさんありましたが、高度成長期の弊害として、いまは壊す文化、捨てる文化が横行しています。何でも新しいものに変えるのではなく、質が高くていいものを残し、「使いつづける」文化にしなければならないと感じています。それが、家だけてはなくすべての面の長寿命化につながっていくのではないでしょうか。
 住宅の長寿命化と同時に、二世代三世代とゆとりを持って住んでもらえる大きな家をつくりたいと考えています。家は「家庭の中心にあるもの」であり、三世代の住める家、良質な住宅ストックの形成は日本の社会問題にとっても非常に大きなファクターになってきます。
 核家族化が広がって、世代間の交流が薄くなってきていますが、一緒に住むことで子どもの情操教育の面、子育てへの協力など、少子化問題や介護問題のひとつの解決策となる面もずいぶんあるのではないでしょうか。
 現在、住宅業界は、ストック重視、良質な住宅を普及させるための変革期にあります。消費者契約法、建設リサイクル法が完全実施され、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)に基づく「住宅性能表示制度」も運用されています。また、住宅金融公庫の改革も予定され、優良な住宅を図るものさしとしての「公庫基準」に依存することも難しくなってきています。
 古い家はいままで市場で評価されず、何年かたつと家の不動産価値がなくなっていましたが、品確法の性能表示制度や、当社独自でつくった「ユートラスシステム」という保証制度を活用することで、中古住宅の価値を上げることをめざしています。建替えやリフォームも、良質な住宅ストックの形成につながりますから、独自のメンテナンス、リフォーム、中古住宅の流通のためのシステムによって、こうした文化も社会に浸透させていきたいと思っています。
 また、阪神・淡路大震災で私たちは、住まいが命や財産を守るシェルターの機能をはたし、そこで暮らす家族や一人ひとりの幸せの原点であることを再認識しました。ところが、建築基準法の「新耐震基準」に基づいて家が建てられるようになったのは1981年以降なので、従来工法によって建てられた現在の住宅の半分くらいはこの基準を満たしていないことになります。
 住宅設備機器の技術革新や情報化、そして家族と住まい・生活に対する嗜好の変化など10年単位で生活が変わっていることもふまえ、その時代に即した新しいライフスタイルを取り入れながら、お客様にとっても社会にとっても最高のものを提供することで「お客様満足」につなげたいと考えています。

環境経営の3つの視点
代表取締役社長 和田 勇
 21世紀は環境を抜きにした経営をする企業は社会に受け入れられなくなる時代だと感じています。必ず住まい手側、あるいは社会に対する企業姿勢を明確にしたものづくりが求められてきます。住宅業界は建っているものを壊して、廃棄物を大量に出すという、環境破壊の側面をもつ産業でもあるわけですから、「生産・リサイクル・CO2削減」の3つの視点から、もっと環境を再認識しなければいけないと考えています。
 まず1つ目は「生産面」。ものをつくる現場、工場生産の段階で廃棄物を出さないことです。当社では5年間の計画を前倒しして、2002年5月に約3年間で工場ゼロエミッションを達成することができました。
 2つ目は「リサイクル面」。家を解体すると廃棄物がたくさん出ますが、法律に則った産業廃棄物の処理を行い、再利用できるものはリサイクルをはじめています。いま、リサイクル商品はコスト的に割高になる面がありますが、将来的には活用を増やす方向に持っていきたいと思います。
 3つ目は「CO2削減面」。たとえば居住時においては、真夏にクーラー利用が最小限ですむような家のつくりにし、冬の寒いときにも、暖房の効率を高めるような家で、CO2の削減につなげるべきだと思っています。断熱サッシ、そして遮熱・断熱のペアガラスを標準仕様にしており、一般的な住宅に比べ冷暖房エネルギーが3割以上削減可能で、現在国で定めている最上位レベルの「次世代省エネ基準」をクリアする高気密・高断熱仕様の住宅の普及を進めています。太陽光発電の規格化なども行い、住まい手が我慢しなくてもCO2の削減が可能となる環境に配慮した新しい家づくりを提案しています。

感動を得られる家づくりをめざして
 「お客様満足」の原点は、従業員全員が「お客様の暮らしはお客様に家を引き渡したところからはじまる」という意識を持つことです。家は一度建てると、簡単に建替えができません。だからこそ、お客様が信頼と安心と喜びを感じる、感動を与えるような家をつくりたい。歳月を経るほどに家族や人々の思いが刻まれ、美しく愛着が深くなる住まいや街をつくりたい、これが私たちの使命だと思っています。
お客様満足を徹底することがお客様の喜びにつながり、また、お客様に喜んでいただくことを社員が自分の喜びとして感じ取ることが、「従業員満足」につながっていきます。そして、ひいては企業の繁栄にもつながっていきます。
 私たちの推進する「顧客満足の向上」のベースにあるのがコンプライアンスだと考えています。単なる会社の中の規則や法律、法令遵守というだけでなく、倫理や道徳に沿った広い意味のコンプライアンス・マインドを徹底させるために、コンプライアンス研修も定期的に行っています。
 コンプライアンスやお客様満足、従業員満足を徹底し、長寿命化、高品質の家をつくることによって、社会全体のシステムを「消費型」から「循環型」へ転換でき、環境を守ることにもつながります。こうした考え方を基本に、商品開発から解体、生産、施工、アフターサービス、生活情報提供、リフォームまでの「一貫した住宅建設・生活サポート体制」を行うことで、永く住み継がれるいい家づくりをつづけていくことができると考えています。
 今回お届けする「ECO WORKS 2003」では当社の取り組みや考え方を詳しくご紹介しています。当社に関わる多くの皆さまにお読みいただき、ご理解、ご意見いただければ幸いです。

私のエコライフ
 毎朝8キロのウォーキングを14年つづけています。早朝歩くと、頭が澄みきった状態になり、いろんな考えがまとまります。水や木などを身近に感じることで、自然の摂理も良くわかります。当社の展開する「ビオガーデン〜5本の樹計画〜」では、お客様のお住まいに自生種・在来種の樹木を中心に植えていただくことによって、鳥や蝶が自然に帰ってくる環境を身近につくることをめざしています。都会では見られなくなった赤とんぼや鳥や蝶などが、家の近くに戻ってくるような街づくりをしたいと思います。

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