資源循環型社会 広域認定制度を利用したゼロエミッション

写真:広域認定証

広域認定証

 積水ハウス株式会社は、2004年9月17日に廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、廃棄物処理法)第15条の4の3第1項に規定する環境大臣の認定(以下、
「広域認定制度」

「広域認定制度」

製品の製造事業者等(製造・加工・販売等の事業を行う者)が、廃棄物となった自社の製品をユーザーから回収してリサイクルすることを目的とした大臣認定の制度です。

)を、建設業界で初めて受けました。
 この制度は、メーカーが複数の都道府県にまたがって使用済みの製品などを回収・リサイクルをする際に、処理能力等一定の厳しい基準に適合していると環境大臣が認定すれば、収集運搬や中間処理、最終処分を委託する場合でも、廃棄物処理業の許可を不要とする廃棄物処理法の特例制度で、当社にとっては新築施工現場の廃棄物対策を効率化しリサイクルを推進しやすくする制度といえます。
 当社新築住宅の場合、一棟で約6万点もの建築部材を使用します。「工業化住宅」という「製品」について、メーカーとして新築施工現場から発生する廃棄物の回収、管理からリサイクルまでの一連の工程を統括して管理できる体制を評価して認定されたものです。広域認定制度を取得している企業の多くが石膏ボート、断熱材など、比較的リサイクルが容易な単一素材メーカーであるのに対し、多種多様な材料・複合部材を対象にしていることが当社の認定取得の大きな特色です。建設業としては我が国で初めての取得となります。
当社はこの「広域認定制度」を基に2005年7月に新築施工現場の
ゼロエミッション

ゼロエミッション

産業活動により排出される廃棄物・副産物すべてを資源として再活用し、社会全体として廃棄物ゼロを目指す考え方。積水ハウスグループでは「熱回収を伴わない単純焼却ゼロ・埋立処理ゼロ」をゼロエミッションと定めている。

を達成しました。 さらに新築に留まらずゼロエミッションの取り組みをアフターメンテナンスに拡大し2006年6月に達成した上で、対象をリフォーム分野に拡大、2007年10月に全国のリフォーム施工現場で発生する廃棄物のゼロエミッションを達成しました。当社は、2007年7月にリフォーム分野を「広域認定制度」対象に加える変更の認定を取得したことで、リフォームにおいても廃棄物の回収から再資源化までの工程を一貫して管理する体制を構築しました。広域認定制度を利用する形でのリフォーム施工現場のゼロエミッション達成は、業界初となります。
積水ハウスリフォーム株式会社では、積水ハウス株式会社物件に限定してリフォーム事業を展開しており、リフォームゼロエミッションの対象は、積水ハウス株式会社が過去に施工・販売し、積水ハウスリフォーム株式会社が建物の解体・改修・増築を行う施工現場で発生する廃棄物です。一般的にリフォーム工事は、新築の場合と異なり工事の規模が大小様々で、解体作業に伴い何十年も前の部材や大型設備が排出されるケースもあるため、廃棄物の分別やリサイクルは難しいとされてきました。リフォームに伴う解体工事部分と新規工事部分とを区別し、廃棄物の特性や作業効率を考慮したそれぞれの分別基準・分別方法に沿って徹底的な分別を行うことで、確実なリサイクルを可能にするとともに、高いトレーサビリティ(追跡可能性)を確保しています。
積水ハウスグループとして2019年2月21日 積和建設が行う新築住宅を含めた積水ハウスと積和建設17社の「広域認定制度」の共同申請の新規認定を取得、積和建設が行う新築住宅のゼロエミッションを一部実施しました。
2020年2月1日 積水ハウス株式会社戸建住宅のセカンドブランドを販売製造する新会社積水ハウス ノイエ株式会社」が営業開始、新会社設立に伴い新会社との広域認定の共同申請を準備中です。

図

施工現場ゼロエミッションの核として機能する資源循環センター

 当社は、全国の施工現場で日々発生する廃棄物のゼロエミッション(産業活動により排出される廃棄物・副産物すべてを資源として再活用し、社会全体として廃棄物ゼロを目指す取り組み)を達成しています。この施工現場ゼロエミッションの取り組みの核となるのが、2003年から全国各地の生産工場等に開設した「資源循環センター」です。

 「資源循環センター」では、廃棄物回収のための配車指示から、委託するリサイクル業者の統括など一連の流れを管理しています。また、センター内では搬入した廃棄物をさらに最大80種類程度にまで再分別。複合物の単一素材への分解や、素材ごとに圧縮、加熱などによる減容を行うことで、外部の委託業者を含めたリサイクルルートに乗せられる状態にしています。

資源循環センター所在地

写真:資源循環センター

廃棄物の移動および処理に関する高度な管理体制

廃棄物の移動の管理

産業廃棄物

産業廃棄物

自分で利用しなくなったり、第三者に有償で売却できなくなったりした固形・液状の物のうち、事業活動に伴って生じた物(政令で定められた20種類)を指し、排出事業者に処理責任がある。

の処分の際には、マニフェスト伝票を用いた管理が義務付けられています。当社は「広域認定」を取得したことで、これに代わる管理体制を構築し、当社独自の電子管理の「廃棄物回収管理システム」を運用してきました。

図:廃棄物の移動の管理

処理先の確認

資源循環センターでは、廃棄物の処理委託に当たりリサイクル業者が質的・量的に処理する能力と、ゼロエミッションの定義や広域認定制度を踏まえた当社の取引先としての適性を見極めるため、施設の処理能力、内容、工程、最終リサイクル先の総合的なチェックを行っています。

具体的には、その業者が取得した許可の確認はもとより、安定した財政基盤を保持しているかの財務諸表の確認、再資源化処理の工程能力確認、定期的な施設の現地調査などを実施し、ゼロエミッションシステムを維持管理(選定時チェック・継続チェック)しています。

ゼロエミッション活動の歩み

2002年5月 工場ゼロエミッション達成
2004年9月 広域認定取得<業界初>
2005年4月 「サステナブル宣言」
2005年7月 新築施工現場ゼロエミッション達成 <業界初>
2006年3月 アフターメンテナンス施工現場ゼロエミッション達成 <業界初>
2007年10月 リフォーム施工現場ゼロエミッション達成 <業界初>
2009年10月 4部門(工場・新築・アフター・リフォーム)ゼロエミ達成にて リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰事業 内閣総理大臣賞 受賞
2010年11月 新築施工現場で、「ICタグ」を活用した次世代型ゼロエミッションシステムの全国運用開始 <世界初>
2017年1月 広域認定収得と同時に開発した独自の「電子管理システム」を
クラウドコンピューティング

クラウドコンピューティング

手元のコンピュータで管理・利用していたようなソフトウェアやデータなどを、インターネットなどのネットワークを通じてサービスの形で必要に応じて利用する方式。

を中心としたシステムに刷新。「ICタグ」を廃止し「
QRラベル

QRコード

QRコード(Quick Responseコード)は、高速読み取りを重視したマトリクス型2次元コードとして、1994年株式会社デンソーウェーブにより開発され、1997年AIMIのITS規格に登録、2000年にISO/IEC規格となっている。

」を利用したシステムの運用を開始
2017年5月 積水ハウス版ビッグデータである「邸情報データベース」と緊密に連携する新システムへ切替
2019年2月 積和建設が行う新築住宅を含めた積水ハウスと積和建設17社の広域認定共同申請が認定