取り組みの総括

E(環境経営)に関して

写真:取締役 専務執行役員 技術部門・生産調達部門担当 三浦 敏治(環境事業部会長)

取締役 専務執行役員
技術部門・生産調達部門担当
三浦 敏治
(環境事業部会長)

2019年は、元号が「平成」から「令和」に改められ、新しい時代の到来を意識させられた年でした。
 一方で、房総半島をはじめ日本各地に大型台風に伴う記録的な大雨により甚大な被害がもたらされ、地球温暖化が異常気象という形で私たちの暮らしに大きく影響し始めていることが実感された年でもありました。また、こうした自然災害は、企業にとってもサプライチェーンの分断など、事業リスクにつながる可能性があります。気候変動対策をはじめとする環境分野の非財務課題への積極的な取り組みが、企業の持続的な成長に重要な影響をもたらすことを改めて実感しています。
 気候変動対策として、当社では住まいの居住段階の使用エネルギー収支ゼロを目指すZEHの普及を積極的に進めています。2019年度には、当社が供給する新築戸建住宅に占めるZEH比率は87%となり、目標としていた2020年度80%を前倒しで達成することができました。
ZEH

ZEH

Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略)。住まいの高断熱化と高効率設備の導入による省エネと太陽光発電などの創エネにより、年間の一次エネルギー消費量の差引ゼロを目指す住宅。日本政府のエネルギー基本計画では家庭部門の温暖化対策のひとつとして位置付けられています。2030年までに新築住宅の平均でZEHを目指すという目標も設定され、取り組みが進められています。

は省エネ性能のほかにも、快適性・経済性、停電時にも太陽電池・燃料電池・蓄電池の電気を使えることからレジリエンス性が高く、これらの付加価値をお客様にご理解いただくことが高い実績につながっていると考えています。戸建住宅で得られた蓄積を生かし、賃貸住宅や非住宅建築物でもゼロエネルギー化を推進しています。
 また、企業の長期的な成長力を問う
ESG

ESG

環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったもの。今日、企業の長期的な成長のためには、ESGが示す三つの観点が必要であるという考え方が世界的に広まっており、企業の株主である機関投資家の間でも急速に広がっている。

投資に関しては、機関投資家に対して、気候変動がもたらすリスクや機会を分析して財務報告を行う「TCFD」について、日本の非金融民間企業として初めて報告させていただきました。
 2020年度も「『わが家』を世界一 幸せな場所にする」をベースに、持続可能な価値の創造に努めてまいります。

S(社会性向上)に関して

写真:代表取締役副社長 管理部門管掌 内田 隆(社会性向上部会長)

代表取締役副社長
管理部門管掌
内田 隆
(社会性向上部会長)

 当社グループは「『わが家』を世界一 幸せな場所にする」というコンセプトのもと住宅を通して社会課題の解決に向けた取り組みを行っています。「お客様の幸せ」「従業員の幸せ」「社会の幸せ」を実現するための具体的な取り組みとして「お客様の幸せ」については、ハード(技術)とソフトの融合により安全・安心・快適に加え、新たに健康を追求した技術開発に着手したほか、バリューチェーン全体を通じてお客様満足の最大化を図ります。「従業員の幸せ」については、
ダイバーシティ

ダイバーシティ

性別や年齢、民族、出身地、国籍、障がいの有無、言語や文化、性的指向、価値観などの違いを尊重し、生かすことにより、ビジネスの成果に結び付けること。

の推進、働き方改革、人材育成などの取り組みを強化するとともに、健康経営のコンテンツを順次整備していきます。2020年夏から従業員一人ひとりの意識改革とリテラシー向上を目的として、AIによる健康診断結果のリスク分析と生活習慣改善シミュレーションのプログラムがスタートします。
 「社会の幸せ」については、保育園や介護施設などの提案により事業を通じて少子高齢化などの社会課題を解決することに加え、社会貢献として「次世代育成」「環境配慮」「住文化向上」「防災・被災地支援」の四つの方針に特化し、活動しています。これらの方針に対応した従業員と会社の共同寄付制度「積水ハウスマッチングプログラム」では、非営利団体のプログラム実施を支援するとともに、当社事業所との連携を図っています。
 また、本年4月には企業理念に基づく「人権方針」を定めました。
 今後も持続可能な社会の構築を念頭に置き、グローバルに展開するさまざまな
ステークホルダー

ステークホルダー

企業活動がかかわる顧客(消費者)、従業員、株主、取引先、地域社会、行政機関などに属する個人・集団などの利害関係者。

の期待に応え、企業価値の向上に努めてまいります。

G(ガバナンス)に関して

写真:代表取締役副会長 IR部門管掌 稲垣 士郎(ガバナンス部会長)

代表取締役副会長
IR部門管掌
稲垣 士郎
(ガバナンス部会長)

 ESG投資は今や3000兆円を超える規模となり、企業成長の原動力とみなされています。「G」については2018年を「ガバナンス改革元年」と位置付けて、
コーポレートガバナンス

コーポレートガバナンス

企業統治と訳される、企業における意思決定の仕組み。企業の不祥事の多発から、組織全体での企業倫理の逸脱などを防ぐために重要である。

強化に向けて取り組みを開始してから、取締役会の独立性向上や代表取締役の任期の見直しなど、トップマネジメントレベルから事業マネジメントレベルまで合わせて17の改革を実施し、さらなる向上に向け継続的に取り組んでいます。
 加えて、ガバナンス体制を強化していくためには、「風通しの良い職場風土づくり」の推進が重要です。
CSR

CSR

Corporate Social Responsibility の略称。企業が事業活動において利益を追求するだけでなく、あらゆるステークホルダーとの関係性を重視しながら果たす社会的責任。

委員会傘下のガバナンス部会では、トップダウン、ミドル・アップダウン、ボトムアップの3方向から風が通るよう推進しています。そして、「イノベーション&コミュニケーション」を合言葉にガバナンス・コンプライアンスの浸透や意識向上を図るとともに、成長の基盤の一つである次世代の人財育成も進めています。
 2019年10月には鴻池組が子会社となり、国内外のグループ従業員は2万7000人となりました。2020年8月に創立60周年を迎えるに当たり、本年は積水ハウスグループの従業員一人ひとりが企業理念やESG経営の本質を理解し行動する一年にしたいと思います。
 また、2020年は本「サステナビリティレポート」とは別に、投資家向きの情報を強化した「統合報告書」を新たに発行することとしました。
IR

IR

Investor Relationsの略称。企業が投資家に対して、財務や経営の状況、業績動向などを開示する活動。投資家向け広報ともいわれる。

部門を管掌する立場として、引き続き、情報開示の透明性、適時性の強化を図っていくとともに、媒体設計に当たっては対象読者をより意識した誌面構成として、サステナブル社会の実現に向けた積水ハウスグループの取り組みをご理解いただけるよう努めてまいります。