コーポレートガバナンス コーポレートガバナンス体制の強化

基本的な考え方

積水ハウスグループは、「人間愛」を根本哲学とする企業理念に則り、
コーポレートガバナンス

コーポレートガバナンス

企業統治と訳される、企業における意思決定の仕組み。企業の不祥事の多発から、組織全体での企業倫理の逸脱などを防ぐために重要である。

体制を構築し、迅速かつ誠実な経営に取り組んでいます。そして、基本的な考え方や枠組みを定めた「コーポレートガバナンス基本方針」を
ステークホルダー

ステークホルダー

活動がかかわる顧客(消費者)、従業員、株主、取引先、地域社会、行政機関などに属する個人・集団などの利害関係者。

に公表しています。

2018年を「ガバナンス改革元年」と位置付け、長期的かつ持続的な企業価値向上に向けてレジリエントな経営基盤を構築すべく、各々の施策を着実に実行してきました。ガバナンス改革に取り組むための支柱と位置付けたのは、誠実で高邁な倫理観を意味する「インテグリティ」という概念です。企業理念に掲げている「私たちの根本哲学」である「人間愛」、「私たちの基本姿勢」である「真実・信頼」と共鳴するものです。私たちは企業活動のすべてにおいて「インテグリティ」を最優先に、ESG経営のリー ディングカンパニーを目指した改革を推し進めています。

活動実績

体制強化に向けた取り組み

積水ハウスグループのガバナンス改革の特徴として、ガバナンスの実効性強化と企業の持続的成長の両立があります。その実現のためには、コミュニケーションの活性化と従業員一人ひとりの成長が不可欠であり、「イノベーション&コミュニケーション」を合言葉に取り組みを推進しています。

2018年以降の主な取り組み

「コーポレートガバナンス体制の強化に向けた六つの項目」をはじめ、各々の施策を着実に実行しました。

1. 代表取締役の70歳定年制の導入

2. 女性社外役員の登用(女性社外取締役・女性社外監査役を各1人選任)

3. 取締役会運営の透明化、活性化(取締役会議長と招集権者の分離)

4. 経営会議の設置(2018年度8回、2019年度10回開催)

5. 取締役の担当部門の明確化(2018年4月に機構改革)

6. 取締役会の実効性評価の実施(年1回アンケート形式にて実施)

7. 営業本部総務部長、支店総務長の独立性確保と牽制機能強化(総務責任者向け研修の実施、所属および人事評価プロセスの見直し)

8. 支店長のインテグリティ向上(次期支店長育成・選抜プログラム「積水ハウス経営塾」の開始)

9. 譲渡制限付株式報酬制度の導入

10. 社外取締役の役員賞与制度の廃止

11. 取締役の任期見直し(2年から1年に短縮)

12. 相談役・顧問制度の廃止

13. 役員報酬制度の抜本的な見直し(左記910、および報酬の基本方針を明確にし、報酬構成比率の見直しおよび適切な報酬水準の設定など)

14. 株式保有ガイドラインの導入(取締役としての在任中、時価ベースで役位に応じた基準金額に相当する当社株式の継続保有を義務付け)

15. 株式報酬返還(マルス・クローバック)条項の設定(一定の事由が生じた場合に権利確定前の株式報酬の全額または一部を返還させる条項を設定)

16. 経営陣幹部の選解任基準・手続き方法の策定(人事・報酬諮問委員会にて、社内取締役選任に関する基本方針および手続き、代表取締役などの後継者計画に関して、継続的な審議を実施)

17. 取締役会の独立性向上(社外取締役を1人増員し、取締役会における社外取締役比率を3分の1[社外取締役4人/取締役総数12人]に)

活動方針

2020年以降の改革の方向性

トップマネジメント・事業マネジメントの両輪でガバナンス改革を推進していきます。

2018年からの2年間で、積水ハウスグループのガバナンス改革は着実に進捗してきました。ガバナンス体制強化を目的に、「取締役会運営の透明化・活性化」「女性社外役員の登用」などの具体的施策を速やかに実行しています。2020年4月開催の定時株主総会では、客観性・透明性およびステークホルダーへの説明責任に重きを置いた役員報酬制度の抜本的な見直し、取締役会の社外取締役比率の向上、取締役の任期短縮などの改革を行いました。
第5次中期経営計画では、「ESG経営のリーディングカンパニーになる」を目指す姿に掲げており、当社グループの強みを生かした海外展開も視野に入れています。このような背景のもと、2020年以降、コーポレートガバナンスの実効性をさらに高めていくため、トップマネジメント・事業マネジメントの両輪でのガバナンス改革を推進し、イノベーション&コミュニケーションを実現する組織風土を醸成していきます。
※コーポレートガバナンスについては別途発行の「統合報告書2020」で詳述しております。

1.トップマネジメントレベルの改革

2020年4月開催の定時株主総会にて、社外取締役を1人増員し、取締役会の社外取締役比率を3分の1としました。これは、第一には経営監督機能の強化を目的としたものですが、社外取締役との協働・共創と公正で健全な緊張関係の構築により、長期経営ビジョンの実現と経営革新を目指すものです。
2020年からの第5次中期経営計画期間においては、人事・報酬諮問委員会の実効性強化、経営会議の役割の見直し、執行役員制度改革を柱としたガバナンス体制のグランドデザインの見直し、第三者視点によるレビューと外部の知見を生かしたPDCAサイクルの実行、情報開示の充実とステークホルダーとの対話を柱としたトップマネジメントレベルのガバナンス改革を推進していきます。

(1)コーポレートガバナンスの体制改革と実効性強化

社外役員との協働(共創)と公正で健全な緊張関係の構築による経営革新を目指す。

  • ① ガバナンス体制のグランドデザインの見直し

    • ⅰ 人事・報酬諮問委員会の体制(委員長・構成)見直しによ る実効性強化

    • ⅱ 業務執行体制における経営会議の役割の見直し

    • ⅲ 執行役員制度改革と経営陣幹部候補者の育成

  • ② 第三者視点によるレビューと外部の知見を生かした PDCAサイクルの実行

    • ⅰ 第三者機関による定期的な取締役会実効性評価の実施化

    • ⅱ 評価機関などのレビューを踏まえたコーポレートガバナンス・コード対応の充実やSR活動の改善

(2)情報開示の充実とステークホルダーとの対話

真実に立脚した公正な情報開示により、ステークホルダーからの信頼を獲得する。

  • ⅰ 「統合報告書」の作成、コーポレートストーリーの開示

  • ⅱ 機関投資家・個人株主との対話機会の一層の充実

2.事業マネジメントレベルの改革

当社の営業本部、支店、工場、海外を含むグループ会社など、積水ハウスグループの強みは顧客目線から事業課題を最も認識している現場の力にあります。現場の力をより一層高めていくため、事業マネジメントレベルにおいてもガバナンス改革を推進していきます。
第5次中期経営計画期間においては、人材要件の明確化と育成体制の整備・強化により、インテグリティの高い事業マネジメント層を育成し、相互信頼に基づいたガバナンス体制を実現します。また、グループ全体の経営シナジーの最大化を図るガバナンス体制を構築するため、親会社・子会社の権限と責任の明確化、親会社・子会社管理部門間のネットワーク構築とレポートラインの確立、ガバナンス人材の育成強化と適正配置、親会社・子会社間の監査役連携を進めていきます。

(1)事業マネジメント層のインテグリティ向上

インテグリティの高いマネージャーによる、相互信頼に基づい たガバナンスの実現。

  • ① 事業マネジメント層の人材要件の明確化と育成体制の整備・強化

  • ② インテグリティマネジメント研修の対象拡大(本社職責者、グループ会社役員など)

(2)グループガバナンス体制の強化

企業理念に立脚したグループ企業間の相互信頼の醸成。

  • ① グループ経営のシナジーの最大化を図るガバナンス体制の構築

    • ⅰ 親会社・子会社の権限と責任の明確化と組織設計への反映

    • ⅱ 親会社・子会社管理部門間のネットワーク構築とレポートラインの確立

  • ② ガバナンス人材の育成強化と適正配置

    • ⅰ ガバナンス人材の育成強化(社会人採用・グループ間人材交流)(インテグリティ+経験・知識+実行力)

    • ⅱ 海外子会社を含んだガバナンス人材の適正配置

  • ③ 親会社監査役と子会社監査役との連携

経営体制

取締役会

取締役会は原則月1回開催し、中長期的な企業価値の向上に向け、経営方針および経営戦略・経営計画の策定、重要な業務執行の意思決定を行うとともに、取締役・執行役員の業務執行の監督・評価、内部統制やリスク管理体制など、経営の健全性確保のための体制整備などをその責務とします。
建設的な意見交換を促進するため、取締役会議長と招集権者を兼務しないことを原則とし、取締役会議長は副会長が、招集権者は社長が務めています。
取締役会の構成は、当社の業務に精通し知見を有する者、財務会計および法令遵守などに知見・専門性を有する者などを、ジェンダーを含む多様性と適正人数を両立する形とし、社外取締役を3名以上かつ取締役会における社外取締役比率が1/3以上になるように選任するものとします。

2020年1月期において開催された取締役会は12回、平均出席率は99.0%(うち、社外取締役100%、社外監査役97.9%)でした。なお、取締役会全体の実効性の分析・評価については、定期的に第三者機関による分析・評価を実施し、取締役会の実効性強化と継続的な改革・改善を進めています。

取締役会の構成(2020年4月24日現在)

取締役

うち社外取締役

年齢

12名
(男性11名・女性1名)

4名
(男性3名・女性1名)

50歳未満

0人

50歳以上60歳未満

2名

60歳以上

10名

監査役会

監査役会は、監査計画を策定し、当該監査計画に基づき、事務所の実査や、取締役および執行役員などに対する担当業務におけるリスク・課題についてのヒアリングを計画的に実施しています。
また、監査役は内部監査部門と意見交換を密にして十分に連携するとともに、会計監査人と定期的に会合を持ち、各監査業務が効率的かつ実効的に行われるよう相互に協力しています。
そのほか、監査役の職務を補助する専任組織として監査役室を設置し、専任者を含む複数名の従業員を配置しています。監査役室に兼任として配置された従業員には、監査役室での業務に関して所属部署の指揮命令が及ばないこととし、その人事上の処分については、監査役の意見を尊重することなど、独立性を確保しています。

監査役会の構成(2020年4月24日現在)

監査役

うち社外監査役

年齢

6名
(男性5名・女性1名)

4名
(男性3名・女性1名)

50歳未満

0人

50~60歳

0人

60歳以上

6名

人事・報酬諮問委員会

人事・報酬諮問委員会は、取締役会の諮問機関として、公正性および透明性を確保する目的のため、取締役・執行役員の人事や報酬に関し、取締役会に意見を述べます。
委員の過半数は社外取締役で構成し、また、委員長は社外取締役の中から取締役会の決議により選任します。現在の構成員の状況は以下のとおりです。
委員長:
吉丸由紀子氏(社外取締役)
委 員:
涌井史郎氏(社外取締役)、田中聡氏(社外取締役)、阿部俊則氏(代表取締役会長)、仲井嘉浩氏(代表取締役社長)

経営会議

経営会議は、重要な投資案件や、グループ全体の経営方針および経営戦略・経営計画の策定などの重要案件について、取締役会の決議または稟議決裁に先立ち、経営方針・経営戦略との整合性などの観点から活発な意見交換を行う審議機関を設けることにより、重要な業務執行の適正な意思決定に資することを目的として設置しています。社内取締役および常勤監査役を出席者とし、社外取締役または社外監査役は、希望する場合、出席することができます。

リスク管理委員会

リスク管理委員会は、取締役会の諮問機関として、リスク管理体制の適切な構築や、その運用状況における実効性の確保を目的として、リスク管理体制の整備に関し、取締役会に意見を述べます。
原則月1回開催し、2019年度は中長期課題として1労働法制対応、2建築法令遵守、3事業所ガバナンス、4セキュリティ、5グループ会社等の課題に関して主管部署のモニタリング等を実施し、各部門におけるリスク管理体制の整備状況を把握し、検証を行いました。

内部統制システム

当社は、会社法および会社法施行規則に基づき、
内部統制システム

内部統制システム

組織の業務の不正やルール違反を防止し、適正を確保するための管理・監査体制を構築していくシステム。

構築の基本方針を取締役会にて決議し、その体制を整備、運用しています。
専門の内部監査部門である監査部が法令や社内規則などに基づく内部統制・内部管理が適正に行われ、かつ実効的な運用が確保されているかについて現地監査を行い、必要に応じて是正勧告等を行っています。監査の結果については、取締役および監査役ならびに関係部署に報告しています。なお、監査部と会計監査人は相互に協力し、内部監査の実効的な実施に努めています。
海外グループ会社を含むグループ会社の内部統制については、当社から取締役等を派遣し、経営状況および重要な職務執行に関する報告を受けています。また、当社の内部監査部門は、定期的に重要な子会社の監査を実施しています。2019年4月には監査部に海外監査室を設置し、海外グループ会社の監査体制の強化を図りました。

会計監査人

会計監査人は、監査役会が会計監査人の選定基準および社内規則に従い、独立性と専門性を有しているか否かを評価し、当該評価を踏まえ、選任議案を決定しています。
会計監査人は、不正を発見した場合には監査役会に報告するものとし、不備・問題点を発見した場合には取締役会に報告し、取締役会は是正措置を取ります。

ガバナンス意識調査

グループ全従業員を対象に、毎年「ガバナンス意識調査」を実施しています。企業倫理意識や職場環境等について定期的に調査することで、現状把握を行い、組織単位での意見交換の機会を設けながら、より風通しの良い職場風土づくりに注力しています。
2019年度は、前年度に引き続き、ガバナンス意識調査の結果をもとにして、各事業所の職場風土や、強み・弱み等について話し合う機会を設定し、「風通しの良い職場づくりに向けた行動計画」を策定しました。