バリューチェーンを通じた顧客満足の追求 施工従事者が気持ち良く効率的に仕事に取り組める環境づくり

 日本の建設業就業者は、3人に1人が55歳以上であり、高齢化が進行しています。今後も高齢者の引退などによる建設業就業者の減少は続き、新規入職者の確保・育成と定着率向上が業界全体の課題となっています。積水ハウスグループでは、継続的に安定した施工力を確保して品質向上・お客様満足向上を実現する施策の一つとして、協力工事店との組織力を強化し、既存の工事力を最大限に活用するための取り組みを推進しています。

 施工力の増強を果たすためには、施工従事者が気持ちよく効率的に仕事に取り組める環境づくりが不可欠です。そのため、事業所と技術開発部門・施工部門・生産部門・システム部門が連携して「現場力強化」の取り組みを推進しています。
 全国の施工現場から生の声を吸い上げる仕組みとして「施工改善要望システム」を進めてきましたが、より幅広く、かつ効率的に改善に反映するため、2015年から改善要望登録者に支店の建築課、積和建設の施工管理者を加え、拡大しました。隔月で開催している「施工改善推進会議」には、積和建設、本体工事店の方々も参加。現場の意見をリアルタイムで取り上げる体制を整えました。2019年度(2019.2~2020.1)は、支店(主任検査員含む)118件、本社・工場129件、積和建設10件、合計257件の改善要望があり、グループを挙げての取り組みとして浸透してきました。内容は、部材の納まり改善、省力化部材の設定、工場の物流改善など多岐にわたるため、事前に「基礎」「外装」「内装・設備」の各委員会に分かれて詳細を検討した上で、全体会議となる「施工改善推進会議」に臨み、対応策を協議しています。新たな取り組みとして2019年8月より、各エリアにてハウス会、積和建設より直接、改善要望を吸い上げ、フィードバックする取り組みも開始しています。
 また、抜本的な改善や開発を推進する取り組みとして「現場力強化会議」を継続実施しています。事業所、技術系各部門、生産部門が一丸となり、課題の共有化、改善・開発の早期実現に向けて検討を進めています。具体的な取り組み例として、2階建ての「シャーメゾン」(積水ハウスの賃貸住宅)の1階内装床下地に新工法(床パネル自体の強度を高めて鋼製大引きの施工を不要とした工法)の「NF床パネル」を標準仕様として採用。施工省力化および施工安全性の向上を図りました。
 こうした取り組みが施工従事者のモチベーションアップにつながり、グループ全体のシナジー効果を生み出しています。
 近年の夏季猛暑に伴う熱中症防止も重要なテーマであり、以前より空調服(ファン付き作業服)を導入しております。
 導入数は2017年 6,412着、2018年 4,615着、2019年 973着、計12,000着となっており、屋外作業を行う方を中心に活用していただいています。
 今後ますます進む施工従事者の高齢化に対して、アシストスーツなどの新しい技術の導入も合わせて検討し、施工現場力の強化を推進するとともに、現場生産性の向上にも努めていきます。

■ 2階建てシャーメゾンへの「NF床パネル」標準採用

写真:省力化と工期短縮を目指しつつ、安全性の向上も進めています

省力化と工期短縮を目指しつつ、安全性の向上も進めています

■ 空調服着用促進ポスター

写真:空調服着用促進ポスター

写真:空調服

両脇より小型ファンで給気し、身体の表面に大量の風を流すことにより汗を気化させ、快適に作業することができます