バリューチェーンを通じた顧客満足の追求 部材生産品質の維持・向上
「邸別自由設計」を旨とする積水ハウスでは、部材も一邸ごとにカスタムメードする「邸別生産」が基本です。多品種・小ロットの邸別生産と合理性を両立させつつ、常に性能・品質が安定した高精度な部材を供給するため、生産ラインの整備やロボット技術の導入による自動化を推進しています。
主要構造材の生産自動化推進
国内工場(全5工場)において、柱・梁をはじめとする主要構造材や外壁材などのオリジナル部材を製造しています。各工場で、継続的な改善活動、効果的な設備投資により、生産効率と品質のさらなる向上に努めています。
例えば、山口工場で「βシステム」(重量鉄骨3・4階建て住宅の構法)の主要構造材製造ラインのさらなる自動化と増強を2017年に行いました。、IoT・ビッグデータ・AIを駆使したスマートシステムを導入することにより、自動で蓄積された過去の製造情報(ビッグデータ)をAIが学習し、製造状況に適した判断で実施。このスマートシステムにより、生産量や勤務体系の調整を自動化するとともに、AIによる製造ラインの動作効率化と省電力運転を実装し、生産性31%向上、労働時間9%削減、使用電力12%削減を実現しました。
■ 生産部門における2010年以降の主な設備投資(主要構造材)
2010年 |
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2013年 |
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2015年 |
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2016年 |
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2017年 |
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2階建て鉄骨造
3・4階建て
静岡工場「WHコラム」製造ライン
オリジナル外壁材の自社生産
【鉄骨2階建て住宅】 積水ハウスオリジナルの最高級外壁材「ダインコンクリート」
高強度・高耐久の性能とともに、既存のコンクリートでは難しかったぬくもりのある表情や美しいテクスチャーなどの高いデザイン性が特色です。高級住宅「イズ・シリーズ」に使用しており、誕生から30年以上の長きにわたってお客様に愛され続けています。
自社工場で、独自の原料組成と製造方法によって一つひとつ邸別生産しています。あらかじめメッシュ状にロボット溶接した高精度な鉄筋を、原材料の打設時に型枠の中に敷き込むことで、製品精度を確保しています。さらに製造工程に「オートクレーブ養生」を採用。セメント質材料の硬化を促進させるため、完全密封した鋼製タンクの中で、高温(約180℃)・高圧(約10気圧)で約20時間養生するシステムです。これにより原料中の石灰とケイ酸の化学反応が促され、確実で安定した強度を持った強固な素材が生み出されます。「ダインコンクリート」は内部に気泡を形成することで軽量化を図っていますが、独自の製法でほぼ100%の「独立気泡」を実現。気泡が連続していないため、耐水性・耐久性に優れています。また、表面デザインは、人の手で彫刻した原型から取った型枠で1枚ずつ成型する「キャスティング製法」によってつくり出されます。これによりカッティング等の二次加工を行うことなく、彫りの深いテクスチャーを実現しています。
【木造住宅「シャーウッド」】積水ハウスオリジナル陶版外壁「ベルバーン」
当社の木造住宅「シャーウッド」のオリジナル陶版外壁「ベルバーン」は、工業製品として厳しい品質管理のもと生産され、優れた耐候性、耐久性、強度を保持しながら、表面硬度も高く、釘でひっかいても傷が付きません。また、焼き物ならではの土の温かみや自然の風合いを生かした意匠により、年月を重ねるほどに質感が深まる佇まいを実現できます。
2018年、画像処理に特化したAIによる品質管理システムを導入することにより、リアルタイムに良品出来高を管理することができるようになり、生産効率化と品質管理の強化、品質向上、ならびに在庫の4割削減によるコストダウンを実現しました。
■ 生産部門における2010年以降の主な設備投資(オリジナル外壁材)
2010年 |
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2012年 |
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2013年 |
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2016年 |
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生産品質管理体制の整備
2001年には全工場で環境マネジメントシステムの国際規格「
ISO14001
国際標準化機構(ISO)が発行した環境マネジメントシステムに関する国際規格(IS)群のうち、環境マネジメントシステム(EMS: Environmental Management Systems)が満たさなければならない事項を定めた規格。
2016年4月より静岡工場のβシステム梁新製造ラインが稼働開始、最新技術の活用で徹底的な効率化と品質向上を同時に実現しています。住宅業界として初の導入となります「溶接ビード自動検査」は、全数高精度検査による「不良品の流出防止」と「トレーサビリティ」を実現しました。
2016年9月より本格稼働しました関東工場のダインパネル製造ラインにおいてロボット化推進および自動検査装置導入に伴い大幅な品質向上を図ることができました。
労働環境について
各工場では、業務遂行中に発生するおそれのある災害または、健康障害を未然に防止するために必要な安全衛生管理を行い、従業員の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境を形成し作業遂行の円滑化と、生産性の向上に努めています。安全衛生の維持・発展のため、月1回の安全衛生委員会を開催するとともに、四半期に1回、全工場で「生産部門 安全衛生推進会議」を開催して、各工場の現在状況、改善内容、将来展望等を共有しています。2017年には、生産設備安全基準を定め、防護設備(安全柵)、吊り具(玉掛け用具)について、全工場同水準で運用できるように安全規定を設けました。