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バリューチェーンを通じた顧客満足の追求 活動方針②
資材調達におけるきめ細かいサプライチェーン・マネジメント

3:すべての人に健康と福祉を 8. 働きがいも経済成長も 9:産業と技術革新の基盤をつくろう 11:住み続けられるまちづくりを 12:つくる責任つかう責任

CSR評価の新しい形 → CSR調達から一歩先のSDGs調達へ

活動報告

CSR評価の見直しからSDGs調達(持続可能な調達)へ

 積水ハウスでは、サプライヤーのCSR

CSR

Corporate Social Responsibility の略称。企業が事業活動において利益を追求するだけでなく、あらゆるステークホルダーとの関係性を重視しながら果たす社会的責任。

に関する取り組みの促進に向けて2017・2018年度と、チェックシート方式による「CSR評価」を実施しました。また、2018年度からは、「
CSR調達

CSR調達

コンプライアンス(法令遵守)や公正性、さらに人権や労働問題への取り組みなど、調達先のCSR活動も考慮に入れた調達のこと。

ガイドライン」の制定とその趣旨に同意いただく「同意確認書」の提出を求め、CSR調達戦略の見直しと定着を図ってきました。
 また、2018年の
国連グローバル・コンパクト

国連グローバル・コンパクト

1999年の世界経済フォーラムにおいて、当時国連事務総長であったコフィー・アナンが企業に対して提唱したイニシアチブ。各企業が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって、社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組みづくりに参加する自発的な取り組みを進めている。

への署名を機に「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」(以下、GCNJ)のサプライチェーン分科会に参加し、2019年度からは、それまでの当社オリジナルの「CSR評価」チェックシートから「GCNJ 版SAQ」に準拠した内容に深化させ、取り組みを継続しています。旧評価にはなかった「
コーポレートガバナンス

コーポレートガバナンス

企業統治と訳される、企業における意思決定の仕組み。企業の不祥事の多発から、組織全体での企業倫理の逸脱などを防ぐために重要である。

」「サプライチェーン」など9項目の調達基準が設定されています。
 2020年2月には従来の資材部を調達部と改め、生産調達にかかわる組織体制も大きく変化しました。
 こうした活動をベースに、従来の調達から一歩進んだ、持続可能な社会構築に向けたサプライチェーンへの積極的な関与(
SDGs

SDGs

2015年9月の国連総会で採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の略。2030年までに、環境破壊、人権配慮や貧困解消など世界で解決すべき目標を示したもので、17の目標と169のターゲットで構成されている。持続可能な社会の実現に向けて、国や自治体だけでなく、企業の役割と関与の重要性を初めて明確に示した点が特徴。

調達)を進めていきます。

SAQ(Self-Assessment Questionnaire):自己問診票。自らの取り組みを自己診断するためのツール。

■ GCNJ共通SAQの設問項目(「CSR調達ガイドライン」の記載)

1.コーポレートガバナンス 法規範遵守、CSR推進体制構築、内部統制構築、
BCP

BCP(事業継続計画)

Business Continuity Planの略。企業が自然災害などの予期しない緊急事態に遭遇した場合に、重要業務に対する被害を最小限にとどめ、最低限の事業活動の継続・早期復旧を行うために事前に策定する行動計画のこと。

体制構築、内部通報制度構築、CSRに関わる社内外への情報発信
2.人権 基本姿勢、人権尊重と差別禁止、人権侵害の加担・助長回避、先住民生活・地域社会尊重
3.労働 基本姿勢、雇用差別禁止、人材育成機会提供、非人道的扱い禁止、適正賃金支払い、公正な労働時間、強制労働禁止、児童労働禁止、宗教的伝統・習慣尊重、結社の自由・団体交渉権、安全衛生・健康
4.環境 基本姿勢、化学物質管理、排水・汚泥・排気の管理・ 削減、資源(エネルギー・水・原材料等)の持続可能で効率的利用、GHG削減、廃棄物特定・管理・削減、生物多様性に関する取組み
5.公正 基本姿勢、政治・行政との適切関係、顧客・取引先との適切関係、競争法、反社会的勢力・団体との関係排除、知的財産、社外苦情・相談窓口、インサイダー取引、利益相反行為、輸出入管理
6.品質・安全性 基本姿勢、品質・安全性確保、事故・不良品流通発生時対応
7.情報セキュリティ 基本姿勢、コンピュータ・ネットワーク脅威に対する防御、個人情報及び機密情報管理・保護
8.サプライチェーン 基本姿勢、紛争・犯罪への関与の無い原材料購入・使用
9.地域社会との共生 地域社会への負影響の低減、持続可能な発展に向けた取組み

モニタリングとデューデリジェンスによる評価検証

 CSR評価の結果から判明した注視すべきサプライヤーに対しては、個別訪問でヒアリング(評価基準や到達度に関する助言など)を行うモニタリングを実施しています。2019年度は3社に対して実施しました。
 また、気候変動に関してはサプライチェーンにおける生産プロセスのCO2削減もさらに重要性を増すテーマと位置付け、SAQ等を通じて、サプライヤーの生産工程等における削減に向けて着実な取り組みを進めることを促しています。
 さらに、大量の木材を用いる建設業としてリスクの大きな木材の調達に関しては、特に厳格な関与が必要と認識し、約50社の主要木質建材サプライヤーに対して
デューデリジェンス

デューデリジェンス

ある行為者の行為結果責任を、その行為者が負うべきか負うべきでないかを決定する際に、その行為者がその行為に先んじて払ってしかるべき正当な注意義務および努力のこと。

を実施し、必要に応じてサプライヤーのより上流の海外生産者レベルでの伐採地視察など現地確認も実施しています。

■ サプライヤー評価の仕組み

図:サプライヤー評価の仕組み

「サプライヤー分科会」を開催してSDGs調達の普及・促進へ

写真:CSRの取り組みとSDGs調達を理解いただくための「サプライヤー分科会」

CSRの取り組みとSDGs調達を理解いただくための「サプライヤー分科会」

 当社は、中小規模の取引先も多い建設業界で持続可能なサプライチェーンを構築するためには、指標に従った一方的な評価実施だけでなく、サプライヤーへのアドバイスや啓発が重要と認識しています。


そのため、2018年からはCSR委員会傘下の「CSRサプライヤー分科会」を開催し、ESG経営の重要性についての研修などを実施してその実現への同意を得てSAQの実効性を確保しています。2019年度は取引先約150社に加え、各工場の協力会社にも対象を広げて実施しました。