リスクと機会

2050年を見据えた「リスクと機会」

加速度的に社会状況が変化する中、企業活動もさまざまな顕在的・潜在的影響にさらされています。事業を通じて価値を 生み出すためには、現状の予見可能による計画立案だけでは不十分と考えられます。積水ハウスグループでは「持続可能性」 を軸に、価値創造に影響をもたらす中長期の課題を分析し、リスク要因を洗い出すとともに、それを将来の事業創出の 機会であると位置付け、中長期の事業戦略立案に反映しています。

  • TCFDに対する当社の対応ついて
    TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)とは、投資家に適切な投資判断を促すための、効率的な気候関連財務情報開示を企業へ推奨するタスクフォースのことです。積水ハウスは2019年12月、気候変動リスク対応の情報開示に特化したTCFDレポートを発行しました。
  • ESGの重要テーマとマテリアルな項目について
    ESGの重要テーマは、GRIガイドライン(G4)を基準に特定したマテリアルな項目(重要課題)から、環境、社会・経済の側面において重要なテーマとして設定したものです。

「環境」におけるリスクと機会

気候変動

次の30年 住宅・建設産業にとってのビジネス環境 リスク 機会 ESGの重要テーマ
気候変動が進行する 気温が慢性的に上昇する 猛暑により生活しにくくなる 猛暑に耐えやすい生活環境へのニーズが高まる 脱炭素社会
猛暑により生産・施工現場などで生産性が低下する 働きやすい職場の競争力が増す
突発的な異常気象が増加する 自然災害が甚大化する 耐久性の高い住宅へのニーズが高まる
脱炭素化の流れが加速する 住宅の脱炭素化が主流化する 炭素税が導入される 低炭素型ビジネスの競争力が増す

生態系保全

次の30年 住宅・建設産業にとってのビジネス環境 リスク 機会 ESGの重要テーマ
気候変動により生態系が変化し、絶滅種が増える 緑化植物の植生域、適応域が変化する 建設時の地域生態系への配慮がより求められる、従来とは異なる植生になる 植樹による生態系保全へのニーズが高まる 人と自然の共生社会
認証材への認知が進み、調達が容易になる
淡水不足の地域が増える 水資源に関する地域差が拡大する 節水しやすい建物や設備が求められる 節水型住宅設備へのニーズが高まる

資源循環

次の30年 住宅・建設産業にとってのビジネス環境 リスク 機会 ESGの重要テーマ
天然資源の減少が進む 天然資源に関する選択肢が変化する、減少する リサイクルの諸規制が強化される 資源循環型ビジネスの競争力が増す 資源循環型社会
脱プラスチック社会への意識変化が進む 新たな素材やリサイクル技術の普及・開発が進む 化石燃料由来プラスチック廃棄物の処理コストが増加する

「経済・社会」におけるリスクと機会

人口動態の変化

次の30年 住宅・建設産業にとってのビジネス環境 リスク 機会 ESGの重要テーマ
世界で人口が増加する 新興国や住宅不足の国の住宅需要が増える カントリーリスクが高い、施工現場での人手不足が進む 市場の潜在規模が拡大する
短工期の省施工の住宅建設技術が求められる
コンプライアンス推進とリスクマネジメント、バリューチェーンを通じた顧客満足の追求
世界で高齢化が進む 高齢の顧客や従業員の比率が高まる、住環境ニーズが 変化する 高齢化に伴う安全や健康面のニーズが増加する、建設・介護・ケア人材が不足する 高齢者の健康に配慮した住宅や職場の競争力が高まる、介護・ケア事業への支援ニーズが高まる 健康・長寿・豊かさの創出、人材育成
世界で移民・労働者流入が増加する 移民の顧客や従業員が増える 住生活の不安定な人が増える
意思疎通コストが増加する
住宅や労働市場が活性化する、多様な人材を受け入れられる職場へのニーズが高まる ダイバーシティの推進、人権の尊重
日本では少子化で人口が減少する 市場規模が縮小し、建築需要が低減する、社会資本が変化する 新築着工戸数が減少する、管理物件の入居率が低下する、空き家問題が深刻化する 良質な住宅提供と都市移住、コンパクトシティ化が進む 健康・長寿・豊かさの創出、バリューチェーンを通じた顧客満足の追求

社会・経済の変化

次の30年 住宅・建設産業にとってのビジネス環境 リスク 機会 ESGの重要テーマ
都市化が進む 地方の過疎化が進行する 都市での競争が激化する 地域活性化へのニーズが高まる バリューチェーンを通じた顧客満足の追求、人権の尊重
社会貢献活動
所有から利用が進む 不動産の賃貸市場が広がる オーナー向けビジネスが減少する 良質な賃貸住宅へのニーズが上昇する
貧富格差の拡大・世帯別の所得格差の拡大が進む 中間層が縮小し、市場の分化が進む 富裕層向けビジネスの競争が激化する、ローコスト住宅が台頭する ターゲット別、レンジ別の住宅ブランドの提供ニーズが増大する
男女の賃金格差の縮小が進む 家事労働の外部化が進む 保育・介護など家事の受け皿が不十分になる 保育・教育施設の需要、家事関連の市場が拡大する(保育・介護など)
働き方が多様化する 従業員の働き方のニーズが多様化する ニーズに応えられない場合に離職率が上昇する 従業員満足度の高い職場の競争力が増す 働き方改革、人材育成
企業のグローバル化が加速する 現地とのパートナーシップとコアコンピタンスの現地化が進む 雇用や商慣行における、現地ニーズとの不一致が進む オリジナル技術により社会課題を解決する 健康・長寿・豊かさの創出、人権の尊重、社会貢献活動、ダイバーシティの推進
価値観が多様化する 環境や社会性を重視する顧客や従業員が増える 環境・社会関連の評判リスクが現在よりも先鋭化する 持続可能性に貢献する住宅へのニーズが高まる 健康・長寿・豊かさの創出、社会貢献活動

技術革新

次の30年 住宅・建設産業にとってのビジネス環境 リスク 機会 ESGの重要テーマ
ビッグデータの活用、情報通信技術のスピード化が進む フィンテックによる金融市場の大変革、技術に関する企業間連携が進む 顧客管理などセキュリティ対策への社会の要請が高まる サステナビリティに貢献できる技術の競争力が高まる コーポレートガバナンス体制の強化
先端医療の利用機会が広がる 病気から復帰できる顧客や従業員が増える 医療技術への理解が求められる 健康や安全に配慮した住宅や職場の競争力が高まる 労働安全衛生マネジメント