脱炭素社会 建築・建設部門の脱炭素化に向けた国際機関との協業

積水ハウスでは2008年に、2050年までに脱炭素化を目指すとする宣言を行い、ゼロエネルギーハウスの普及をはじめとした活動に注力してきました。2016年のCOP22、2017年のCOP23に引き続き、2018年ポーランドのカトヴィツェで開催されたCOP24に参加。COP25では国際機関が発行する「グリーンビルディングにむけたビジネスモデル集」に掲載されるなど、世界の有識者と共に建物・建設部門の脱炭素化に向けて取り組んでいます。

「サステナビリティ ビジョン2050」と気候変動に向けた国連の活動

 国際社会はパリ協定の合意に基づき、気温上昇を1.5℃に押さえるため、2030年までにCO2の排出を半減、2050年までに実質ゼロを実現するよう取り組んでいます。これを遵守する積水ハウスグループは2008年に、住まいからのCO2排出ゼロを目指す「2050年ビジョン」を宣言し、SBT認定を取得するなど脱炭素化にむけた事業活動に取り組んでいます。気候変動対策について話し合う会議である国連気候変動枠組条約(UNFCCC)においても、切迫する気候変動を緩和するため、地球上の約3分の1のエネルギーを消費している建物・建設部門の脱炭素化について、緊急の対応が必要な課題として議論がなされています。現状では、人口の増加に伴い床面積が増加している傾向にあり、IEAの報告に基づくとASEAN、中国、インドだけでも2050年までに700億m2の床面積の増加が推定されており、脱炭素を実現する建物と建設手法が強く求められています。
 このような状況の中、当社はパリで開催された
COP21

COP21

2015年11月30日からフランス・パリで150カ国もの首脳たちを集めて開催された国連気候変動枠組条約第21回締約国会議。12月12日、2020年以降の温暖化対策の歴史的な国際合意「パリ協定」を正式に採択した。

において発足したGlobal Alliance for Building and Construction(GABC,
建設・建築部門におけるグローバルアライアンス

建設・建築部門におけるグローバルアライアンス

Global Alliance for Building and Construction, GABCのこと。建設・建築分野における脱炭素化にむけ取り組むために、パリで開催されたCOP21で組織された団体。世界の多くの国や地方行政、NPO、民間企業などが加盟している。日本からは、東京都と、当社が加盟。

)に加盟し、モロッコのマラケシュで開催されたCOP22への参加や報告書の提出、さらにドイツのボンで開催されたCOP23ではサステナブルな都市の実現を理念に掲げるSDG11デーの閣僚級の会議において、
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)

ZEH

Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略)。住まいの高断熱化と高効率設備の導入による省エネと太陽光発電などの創エネにより、年間の一次エネルギー消費量の差引ゼロを目指す住宅。日本政府のエネルギー基本計画では家庭部門の温暖化対策のひとつとして位置付けられています。2030年までに新築住宅の平均でZEHを目指すという目標も設定され、取り組みが進められています。

の大量導入を実現できた理由や背景について発表してほしいとの要請を受け、当社副社長の伊久(当時)がフィンランドのティーリカイネン大臣はじめ当分野における世界の第一人者に対してスピーチをしました。
 これらの活動を通じ、2019年にProgram for Energy Efficiency in Building (PEEB,
建物における省エネルギープログラム

建物における省エネルギープログラム

Program for Energy Efficiency in Building, PEEBのこと、GABCと協調して活動するよう、ドイツ連邦政府のMinistry for the Environment, Nature Conservation and Nuclear Safety (BMU)ならびに、フランス政府のMinistère de la Transition écologique et solidaire (MTES), the Agence Française de Developpement (AFD) and the Fonds Français pour l’environnement mondial (FFEM)の支援を受けて設立されたプログラム。

)より発行された Business Models for Green Buildings(グリーンビルディングにむけたビジネスモデル集)では、工場を活用した先進的な手法によりZEHを大量に供給することや、施工した建物からの太陽光発電の余剰電力を買い取ることで事業活動の大幅な省CO2を実現するなど、当社の脱炭素化に向けた取組がビジネスと両立する好事例として紹介されました。
これからも、世界の有識者と共に建物・建設部門の脱炭素化に向けて取り組んでいきます。

写真

積水ハウスのCOP24への参加概要

 2018年12月3日から14日までポーランドのカトヴィツェでCOP24が開催され、2015年の
パリ協定

パリ協定

第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)が開催されたパリにて、2015年12月12日に採択された、気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定。日本は2030年までに温室効果ガスの排出量を2013年比で26%削減することを公約。

で採択された目標をいかに実現していくかについて議論がなされました。10日に行われた「サステナブル イノベーション フォーラム」では「いかに持続可能な都市をつくるか」と題されたセッションで当社会長の阿部が基調講演を行いました。
 講演ではZEHの普及や企業活動におけるCO2削減など、当社の環境戦略について紹介し、「当社はもちろん、住団連会長として日本全体のZEH比率向上に努めていきたい」と語りました。このプレゼンテーションには多くの国の専門家や代表者が関心を抱き、講演後には挨拶を求める列ができるなど大きな反響がありました。

写真:積水ハウスのCOP24への参加概要