人権の尊重 ヒューマンリレーション推進体制

人権侵害を「しない・させない・ゆるさない」企業体質を強化するために、ヒューマンリレーション推進委員会を設置し、女性・外国人・障がい者・部落差別等さまざまな人権問題に取り組んできました。自らの企業活動の基盤となる「積水ハウスグループ企業行動指針」「積水ハウスグループ企業倫理要項」の中で人権を尊重することを明示し、また2020年4月には「積水ハウスグループ 人権方針」を策定し、人権尊重の責任を果たすことを表明しています。

人権侵害を「しない・させない・ゆるさない」企業体質づくり

 積水ハウスグループでは、社長が推進委員長となり、年に一度「ヒューマンリレーション全国推進委員会議」を開催しています。この会議では、あらゆる人権課題に関する基本方針の策定や研修実施状況の確認、グループ全体における重点課題の共有等を行っています。

 また、一人ひとりの従業員が企業理念を正しく理解し実践することによって、人権侵害を「しない・させない・ゆるさない」企業体質づくりを目指しています。人権問題を取り扱う専任部署である法務部ヒューマンリレーション室では、従業員が働きやすい職場環境の醸成を目的として、グループ会社を含む全従業員を対象に毎年実施される「ヒューマンリレーション研修」をはじめとした社内啓発を行うとともに、ハラスメント問題をはじめとした人権課題に対して、事業所と連携した相談対応を行っています。

■ ヒューマンリレーション推進プロセス (人権デューデリジェンス)

 ヒューマンリレーション推進プロセス(PDCA)にて、人権侵害を「しない・させない・ゆるさない」企業体質づくりを推進しています。

図:ヒューマンリレーション推進プロセス (人権デューデリジェンス)

セクハラ・パワハラ対応を中心とした相談窓口体制の充実

 当社グループでは、従前よりグループ従業員の人権擁護の観点から、「セクハラ・パワハラホットライン」を設置し、周知と適切な課題解決に努めてきました。通報窓口の設置は「積水ハウスグループ人権方針」でも位置づけているほか、「男女雇用機会均等法」や2020年6月施行の「改正労働施策総合推進法」等においても、事業主の対応として義務付けられています。

 積水ハウス本社の「セクハラ・パワハラホットライン」では、セクハラ、パワハラ、妊娠・出産・育児休業・介護休業に関するハラスメントや障がいのある従業員の環境を整えるための相談等、人間関係に関する社内相談窓口として問題解決に取り組んでいます。また、グループ会社を含めた全事業所に男女1名ずつの相談窓口担当者(約700名)を配置し、エリアや組織単位で毎年研修会を実施して相談窓口担当者のスキルアップと専任部署であるヒューマンリレーション室との連携強化を図り、従業員が相談しやすい体制を整えています。

 これらの相談窓口については、社内イントラやヒューマンリレーション研修テキスト、事業所掲示のポスター等にて全従業員に周知し、「申し入れ本人の保護」はもちろん、事案解決に協力した従業員が不利益を被ることがないように保障しています。2019年2月から2020年1月までの「セクハラ・パワハラホットライン」への相談件数は161件(ハラスメントに関連する相談はうち90件)寄せられており、安心して相談できる窓口との認識が高まっています。

2019年度の取り組み

 毎年、グループ会社を含む全従業員を対象とした「ヒューマンリレーション研修」を実施し、人権啓発を行うと同時に、各組織内に潜在しているさまざまな問題点を抽出して、従業員同士で対話できる場を提供しています。2019年度は、「働きやすい職場をめざして」をテーマの一つに取り上げ、ハラスメントには至らないがハラスメントにつながる可能性のある職場でのトラブル等に関する事例研究を通して、周囲の適切な関わりによるハラスメントの未然防止や、相互理解によるコミュニケーションの重要性、ハラスメントの相談を受けた際の適切な対応について学びました。

 さらに、前年に実施した積水ハウスの全事業所リーダーを受講対象とした「セクハラZERO研修」に引き続き、生産部門、グループ会社(全積水ハウスリフォーム、全積和建設、全積水ハウス不動産 他)の全管理職リーダーを対象とした「ハラスメント防止研修」を実施しました。

 このほか、例年8月に開催される「部落解放・人権夏期講座」は全国の支店長、技術次長、工場、グループ会社から選抜された幹部従業員が受講しており、2019年度は22人が参加、累計受講者は1260人となりました。

 また、LGBTなどの性的マイノリティに関する取り組みの評価指標として任意団体「work with Pride」が策定した「PRIDE指標」において、住宅メーカーで初めて、2018年度に引き続き2年連続で最高位の「ゴールド」を受賞しました。これまでの関連情報の社内発信、専門相談窓口の設置、啓発映画の上映会等の取り組み等に加え、2019年11月から配偶者と同等の関係にある異性事実婚や同性パートナーにも異性婚の配偶者と同様に社内規則や福利厚生制度の適用を行う「異性事実婚・同性パートナー人事登録制度」を新設したこと等の継続的な取り組みが評価されました。

 なお、毎年12月4日~10日の「人権週間」に向けた「人権標語」の募集については2019年で36回を数え、グループ会社を含む従業員(家族からの応募を含む)から、2万4609点の応募がありました。

■ これまでの取り組み

1980年 「人権擁護推進委員会」発足
従業員向けに人権擁護研修を開始(以後、毎年継続して組織的に取り組む)
1981年 社外講座「部落解放夏期講座(高野山研修)」に初参加(以後、継続して参加)
1984年 第1回「人権標語」社内募集を実施
1990年 「人権啓発レポート」を作成
従業員研修向けに社内で制作、以後毎年発行
1999年 「セクハラホットライン」の開設
2003年 人事部内に「人権推進室」(人権問題を取り扱う専任組織)を設置
2006年 「人権推進室」を法務部内に移し「ヒューマンリレーション室」に改組
組織変更に伴い「ヒューマンリレーション推進委員会」発足
2008年 グループ会社を含む全事業所にセクハラ・パワハラ相談窓口担当者を設置
「相談窓口担当者養成講座テキスト」を作成し、毎年育成研修を実施
2014年 「セクハラホットライン」を「セクハラ・パワハラホットライン」に名称変更
2016年 「セクハラ・パワハラホットライン」で障がいのある従業員の働きやすい環境を整えるための相談を受付開始
2017年 「セクハラ・パワハラホットライン」で、妊娠・出産・育児休業・介護休業に関するハラスメントの相談を受付開始
2020年 人権方針の策定・公表、人権デューデリジェンスの本格運用開始

人権団体等との連携

 当社は、同和問題をはじめとするさまざまな人権問題に取り組んでいる関係諸団体と連携をはかりながら、企業価値の向上を目指しています。関係諸団体の主催するセミナーや研修会への参加、人権啓発に寄与する出版物の購入等、継続的に情報を収集し、社内啓発・研修に生かしています。

連携している主な団体

  • 一般社団法人部落解放・人権研究所
  • 大阪同和・人権問題企業連絡会
  • 一般社団法人公正採用人権啓発推進センター
  • 大阪市企業人権推進協議会
  • NPO法人 多民族共生人権教育センター
  • 社会福祉法人ノーマライゼーション協会